「夢の夢」ジョン・レノン [音楽の聴き方]
<原題> #9 Dream
<作詞作曲> John Lennon
<収録アルバム>『Walls And Bridges』(1974)
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ジョン・レノンのソロ作品で一番好きな曲。
まずタイトルがいい。記号と数字が入ってるってのが。
「9」はジョンのラッキー・ナンバーで(10月9日生まれ)、
ビートルズ時代にも「レヴォリューション9」や
「ワン・アフター909」なんて曲を作ってる。
ビートルズのデジタル・リマスターが、
2009年9月9日に発売されたことを知ったら、天国のジョンも喜んだろうな。
とにかく、美しい曲。
邦題は「夢の夢」というくらいで、まさにドリーミィ。
リヴァーヴのたっぷり効いたジョンのヴォーカルに、
幻想的なストリングスが夢心地へ誘う。
■
この曲の一番好きなところは、コード進行だ。
(僕はコード進行フェチみたいなところがある)
まずはAメロ。
|C|Em|F|E7|F|D7|F|G|G|
タイトルの「9」に引っかけてか9小節になっている!
9小節ってとても半端なんだけど、実に自然に聴かせてしまうあたり、さすがジョンだ。
試しに最後の1小節を抜いてみると、とても窮屈な感じがするから不思議。
こういうのは昔からジョンは得意ですね。
それから4小節めのE7がいい。
EmからFに行って、そのあとまたEに戻るんだけど、
今度はマイナーじゃなくてセヴンスという!
でまたF。
そしてD7に一回行ってまたF。
とちょいちょいFに戻るところとか…
まるで現実と夢の世界を行きつ戻りつ、フラフラ彷徨ってるような感じだ。
■
Bメロは一転、ワンコードで押し通す。
|G7|G7|G7(2拍)|G7|G7|G7|G7|G7|G7|
ここも9小節!
ただし2拍の半端な小節が入ることで、リズムが攪乱される。
これもジョンの十八番。
これにより足下が覚束なくなり、現実感を見失う。
どんどん夢の世界へ入り込んでいく感じ。
クラウス・フォアマンのベースがいい。
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Cメロは一旦落ち着く感じ。
|Em9|A7|Em9|A7|Em9|A7|Em9|A7|
しかもまたもや、9にちなんでか(?)Em9というコード。
ロックの世界ではあまりなじみのないコードだ。
■
DメロはCメロのバリエーションといった進行。
|Em7|A7|Em7|A7|Em7|A7|
CとDはツーコードの繰り返しによる進行で、
ループ効果にも似た浮遊感と陶酔感を感じさせるパート。
まさに夢の世界にいるようだ。
■
ここまででもなんとなく普通じゃないのに、次のサビの展開にはぶっとんだ。
まるで違う曲が突然入り込んできたかのような唐突感。
サビのコード進行は
|Gm7|C7|Gm7|C7|Gm7|C7|
|D/F# D/E|D D/C|G/B G/A|G G/F|
前半部分はDメロの進行を2音上げたもの。
急に世界が変わるかのような、理不尽な展開はまさに夢!
ストリングスの愉快なリズムは、夢の中でダンスを踊っているようでもある。
そこで歌われるフレーズも、なんだか摩訶不思議な呪文のようなもの。
Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé
と思って歌詞を見れば…
"Two spirits dancing so strange" とあるじゃないか。
これって“2つ(どう数えるんでしょうか?)の精霊がとても奇妙なダンスをしている”
ってこと?
だとすれば、この「アバワカワポセポセ…」というのは精霊語ってことですかね。
まさに詞のイメージにぴったりのサウンド!
この展開だとさすがに流れでは戻れないと思ったのか、
後半部分はオンコードのアルペジオで階段を下りるように、
そして夢から徐々に覚めるように、
テンポもゆっくりになりながら、またAメロに戻るという見事な解決法。
もう天才的!
Dからサビへの飛躍は、とにかくクセになる展開だ。
「#9 Dream」John Lennon
オノヨーコとラブラブな映像の
オンパレードですね。
by ぷーちゃん (2010-01-06 20:18)
ぷーちゃんさん
音楽にマッチしてますよね。
by walrus (2010-01-17 12:36)
この曲でもクラウス・フォアマンを起用してるんですね。
ジョンは気心の知れたミュージシャンが好みなのかなぁ?
by yukky_z (2010-01-17 21:10)
yukky_zさん
クラウス・フォアマンってミュージシャンとしてはどれほどのものか、
正直よくわかりませんが、少なくともジョンにはあっていたんでしょうね。
by walrus (2010-01-25 04:12)