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『レット・イット・ブリード』ローリング・ストーンズ [音楽の聴き方]

let_it_bleed.jpg

『Let It Bleed』Rolling Stones(1969年)

1.Gimme Shelter
2.Love In Vain
3.Country Honk
4.Live With Me
5.Let It Bleed
6.Midnight Rambler
7.You Got The Silver
8.Monkey Man
9.You Can't Always Get What You Want

-------------------------------------------------------------------------

彼らほど、完璧という言葉が似つかわしくないバンドもないだろうが、
それでもあえて言わせてもらうなら、これは限りなく完璧に近いアルバムだ!

個々の曲が魅力に溢れているのはもちろん、
それぞれが完成したパズルのように、収まるべきところに収まって、
アルバム全体として、強烈なダイナミズムを生んでいる。

演奏は…そこはストーンズ、まぁ相変わらずルーズなのだが、
そこがかっこいいというよりは、そんなものを超越したところにこのアルバムはある。

多彩で奥深いサウンドも、無理なく収めてしまう、
ストーンズという器の深さを感じさせてくれるアルバムだ。

特筆したいのはミック・ジャガーの表現力で、
改めて、こんなに上手いヴォーカリストだったのかと思ってしまった。

1. Gimme Shelter

 

なぜだか分からないが、朝焼けの空を連想させる。それも季節は冬。
夜が少しずつ明けるようにして始まるイントロは、
大名盤のオープニングとしてだけでなく、
メンバーチェンジを経た、新生ストーンズの幕開けを飾るに相応しい。

ミックのヴォーカルはどことなく遠く、シリアスに響く。
この重々しさは、まるで60年代やブライアン・ジョーンズへの鎮魂歌のようだ。

完全にミックを食う勢いの、
メリー・クレイトン(デュエットの女性ヴォーカル)が凄い。

 

2. Love In Vain

一転、暖房の効いた室内を連想させるような、優しく温もりのあるアコギの音。
ライ・クーダーのマンドリンが、チロチロ揺れる暖炉の炎のようだ。

 

3. Country Honk

その名の通り「ホンキー・トンク・ウーマン」のカントリー版。
寛いで、和気あいあいとしたムードが伝わってくる。

 

4. Live With Me

僕の思う、いかにもストーンズっぽい曲。
ピアノやホーンもそうだけど、とくにコーラスの感じが。

 

5. Let It Bleed

歌詞の内容とは関係ないけれど、
気の合う仲間たちと、旅を続けるロード・ムービーのような曲だ。
それも鉄道あるいはバスでの旅。

それはまた人生の旅のようでもあり、
いろいろあったが、何はともあれ旅はまだまだ続くと言ってるよう。
アナログA面の最後がこの曲というのも、よく出来ている。

 

6. Midnight Rambler

この曲のミックの歌い方もかっこいい。ハープも印象的だ。
テンポやリズムがどんどん変わっていき、ライヴ、即興的なノリを感じる。

 

7. You Got The Silver

キース・リチャーズ初のリード・ヴォーカルも味があっていい。
アルバムの中でも、アクセントになっている。

 

8. Monkey Man

 

アルバムも終わりに差し掛かったこの位置にようやく、
僕のもっとも好きなストーンズ・ナンバーが登場する。

ミックのヴォーカルが最高!
彼意外の誰がこの曲をこれほどかっこよく歌えるか。

長い間奏部、2分35秒あたりからのメロディックになる展開が感動的。

 

9. You Can't Always Get What You Want

「Monkey Man」を受ける締めの曲も負けていない。
トラフィック「Feelin' Alright」を彷彿させる濃厚なグルーヴに、
荘厳なコーラスや、パーカッション、キーボードが加わって、
重層的な深みを生んでいる。




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「夢の夢」ジョン・レノン [音楽の聴き方]

walls_and_bridges.jpg

<原題> #9 Dream
<作詞作曲> John Lennon
<収録アルバム>『Walls And Bridges』(1974)

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ジョン・レノンのソロ作品で一番好きな曲。

まずタイトルがいい。記号と数字が入ってるってのが。
「9」はジョンのラッキー・ナンバーで(10月9日生まれ)、
ビートルズ時代にも「レヴォリューション9」
「ワン・アフター909」なんて曲を作ってる。

ビートルズのデジタル・リマスターが、
2009年9月9日に発売されたことを知ったら、天国のジョンも喜んだろうな。

とにかく、美しい曲。
邦題は「夢の夢」というくらいで、まさにドリーミィ。
リヴァーヴのたっぷり効いたジョンのヴォーカルに、
幻想的なストリングスが夢心地へ誘う。

この曲の一番好きなところは、コード進行だ。
(僕はコード進行フェチみたいなところがある)

まずはAメロ。

|C|Em|F|E7|F|D7|F|G|G|

タイトルの「9」に引っかけてか9小節になっている!
9小節ってとても半端なんだけど、実に自然に聴かせてしまうあたり、さすがジョンだ。
試しに最後の1小節を抜いてみると、とても窮屈な感じがするから不思議。
こういうのは昔からジョンは得意ですね。

それから4小節めのE7がいい。
EmからFに行って、そのあとまたEに戻るんだけど、
今度はマイナーじゃなくてセヴンスという!

でまたF。
そしてD7に一回行ってまたF。
とちょいちょいFに戻るところとか…

まるで現実と夢の世界を行きつ戻りつ、フラフラ彷徨ってるような感じだ。

Bメロは一転、ワンコードで押し通す。

|G7|G7|G7(2拍)|G7|G7|G7|G7|G7|G7|

ここも9小節!
ただし2拍の半端な小節が入ることで、リズムが攪乱される。
これもジョンの十八番。

これにより足下が覚束なくなり、現実感を見失う。
どんどん夢の世界へ入り込んでいく感じ。

クラウス・フォアマンのベースがいい。


Cメロは一旦落ち着く感じ。

|Em9|A7|Em9|A7|Em9|A7|Em9|A7|

しかもまたもや、9にちなんでか(?)Em9というコード。
ロックの世界ではあまりなじみのないコードだ。

DメロはCメロのバリエーションといった進行。

|Em7|A7|Em7|A7|Em7|A7|

CとDはツーコードの繰り返しによる進行で、
ループ効果にも似た浮遊感と陶酔感を感じさせるパート。
まさに夢の世界にいるようだ。

ここまででもなんとなく普通じゃないのに、次のサビの展開にはぶっとんだ。
まるで違う曲が突然入り込んできたかのような唐突感。

サビのコード進行は

|Gm7|C7|Gm7|C7|Gm7|C7|
|D/F# D/E|D D/C|G/B G/A|G G/F|

前半部分はDメロの進行を2音上げたもの。

急に世界が変わるかのような、理不尽な展開はまさに夢!
ストリングスの愉快なリズムは、夢の中でダンスを踊っているようでもある。
そこで歌われるフレーズも、なんだか摩訶不思議な呪文のようなもの。

Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé

と思って歌詞を見れば…
"Two spirits dancing so strange" とあるじゃないか。
これって“2つ(どう数えるんでしょうか?)の精霊がとても奇妙なダンスをしている”
ってこと?
だとすれば、この「アバワカワポセポセ…」というのは精霊語ってことですかね。
まさに詞のイメージにぴったりのサウンド!

この展開だとさすがに流れでは戻れないと思ったのか、
後半部分はオンコードのアルペジオで階段を下りるように、
そして夢から徐々に覚めるように、
テンポもゆっくりになりながら、またAメロに戻るという見事な解決法。
もう天才的!

Dからサビへの飛躍は、とにかくクセになる展開だ。

 

「#9 Dream」John Lennon


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「レット・イット・ビー」 ~胸にしみる理由(3) [音楽の聴き方]

■アーメンに代わる祈りの言葉

「レット・イット・ビー」のコード進行をさらによく眺めてみれば、
Aメロの4小節目、サビの2、4小節目が
“F-C”というコード進行になっている(赤字の部分)。

コード進行
A(Aメロ)  |C G |Am F |C  G |F C | 
B(サビ)  |Am Am/G |F C |C G |F C 

 
この“F-C”という進行は、
いわゆる賛美歌などの最後で「アーメン」というときのコード進行と同じで、
そこから、この進行で終止することを「アーメン終止」と言ったりもする。

やはり「アーメン」の印象があるせいか、
敬虔な雰囲気があり、やすらぎを感じさせる進行だ。
まさに魂を浄化させてくれるような響きといっていい。

「レット・イット・ビー」では、このアーメン進行が象徴的に使われている。

この“F-C”というアーメン進行を随所にちりばめ、繰り返すことで、
宗教的な癒しの効果が増幅されているわけだ。

そして気付いたのだが、
このアーメン進行の部分には、 すべて同じ言葉が乗っている。
(厳密には“F-C”の手前から食って入る形)

それがタイトルの「Let It Be」という言葉である。
つまり「Let It Be」とは、アーメンに変わる祈りの言葉なのだ。

■ヴォーカルの素晴らしさ

この曲はまた、ビートルズ最後のシングルとなったことから、
ビートルズの終わりを嫌が上にも痛感させられ、切ない気分にもなる。

だが、ポールの説得力のあるヴォーカルがなければ、
これほど心に響いてきただろうか。

ともすれば単調なメロディーを、
起伏を交えながら、エモーショナルに歌い上げるポールの、
真に迫ったヴォーカルが素晴らしい。

個人的には『レット・イット・ビー・ネイキッド』のヴァージョンより、
従来のヴァージョンのヴォーカルの方が好きだ。

■バンドの状況を映し出したリアルなサウンド

バックのサウンドも、
バンドの雰囲気をそのまま持ち込んだようリアルさがある。
迷走するギター・ソロは、そんな空気を象徴しているようだ。

けれどジョージのギターはロック・バンドであることを忘れないし、
リンゴのフィルも素晴らしい。

残念なのは、ジョンのベースとコーラスが、レコーディングはしたものの、
完成バージョンでは差し替えられていることだ。

ただ『レット・イット・ビー・ネイキッド』のベースがジョンだとするなら、
ポールによって差し替えられたベースも、
ジョンのフレーズをまったく無視したものでなく、
ジョンのプレイを尊重し、残そうとしているように思える。

そういう意味でも、これは紛れのないビートルズのサウンドである。
…と思うのは都合のいい解釈だろうか。

「レット・イット・ビー」は普遍的な救いの歌である。
優しく美しいメロディと単純で安定した構造のバラードは、癒しや安らぎを演出し、
また流れるようなコード進行は「なすがままに身を委ねる」
というメッセージを体現している。
アーメン進行に乗せて何度もリフレインされる祈りの言葉「Let it be」。
そこにゴスペル的な味付けをすることによって、この曲は説得力を持つ。

一方でこれはポールの心の叫びであり、
その迫真のヴォーカル、バンドの末期を象徴するサウンドは、
当時の状況を重ね合わせることで、よりいっそう胸に迫ってくるのだ。


「Let It Be」The Beatles


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「レット・イット・ビー」 ~胸にしみる理由(2) [音楽の聴き方]

前回「レット・イット・ビー」の魅力は、
詞の世界観(テーマ)を、音楽が見事に体現している点にあると書いた。

では「救い」というテーマを、ビートルズはどのように料理しているのか。

■ゴスペル的要素

まず全体の印象として分かりやすいのは、ゴスペル的な味付けだ。

例えば、曲のブリッジやエンディングの、オルガンの下降フレーズや、
聖歌隊風のコーラスといった要素などから、
この曲をゴスペル・ソングと捉えるのは、それほど難しくない。

レイ・チャールズアレサ・フランクリンらの、ソウルフルなカヴァーを聴けば、
いっそう、そういった思いは強まるし、
もともとこの曲は、アレサのために書かれたという逸話もあるくらいだ。
ゴスペルもやはり「救い」の歌であることを考えれば、この味付けも納得がいく。

 

「Let It Be」Ray Charles

■安定した構成

それにしても、だ!

ここには粋なコードや凝った転調もなければ、刺激的なコーラスもない、
不規則な拍子や小節、リズムチェンジといった、
あっと驚くような仕掛け(ひねり)は皆無である。

ピアノは素人でも弾けそうなものだし、
TVを見ながらギターをいじっていたら、
無意識のうちに出来てしまったようなコード進行だ。

清々しいほどのシンプルさ!

このシンプルさは、これまでビートルズが行ってきた
音楽的実験の数々からすれば、むしろ異様に映る。
キャッチーでありながらも、実は凝ったことをしていたのが
ビートルズというグループだったのだから。

だからこの曲を面白くない、という人もいるかも知れない。
僕自身、大好きだったこの曲が、
いつしかそのヒネリのなさや、予定調和的なところに、
どうしても物足りなさを覚えて、つまらないと感じたこともあった。

でも今では、そこにこそ、この曲の極意があると思っている。

魂の救済を歌ったこの歌が、説得力を持つために、
むしろ、この曲は単純で予定調和的でなければならなかったのだ。

彼らの曲としては、初期のロックンロールのカバーなどを除いた曲で、
これほど単純な構成の曲も珍しいのではないだろうか。

コード進行のパターン

小節数
イントロ A 4
1番 A×2 4×2
1番サビ B 4
2番 A×2 4×2
2番サビ B×2 4×2
間奏 C 4
ギター・ソロ A×2 4×2
サビ B 4
3番 A×2 4×2
3番サビ B×2 4×2
アウトロ C' 2

 
表はシングル・バージョンの構成だが、
これを見ると、規則的で実にすっきりしてるのが分かる。
コード進行のパターンはA、B、Cの3パターンだけ。
そのいずれも4小節を基本単位としている(最後だけ2)。
この4というのが、とても自然で安定した数なのだ。

1コーラスは、A(Aメロ)とB(サビ)で構成されている。
表の水色とピンクで色分けされた部分は、構成はまったく一緒だから、
さらに単純化すれば、

イントロ | コーラス×2 | 間奏 | コーラス×2 | アウトロ

 
となる。

単純で、安定した構成の曲というのは、
宗教画の多くが、安定した構図であるのと同じように、
聴くものに安心感を与えてくれるだろう。

これが変拍子バリバリの、複雑な展開を持つ曲だとしたら、
とてもじゃないが穏やかでいられない。

この曲が単純で、愚直なまでに安定した構造なのは、
それがまさに救いの歌であるからであり、そこに安らぎや癒しを求めるからではないか。

■自然な流れのコード進行

構成も単純なら、コード進行も実に単純だ。

コード進行
A(Aメロ)  |C G |Am F |C  G |F C | 
B(サビ)  |Am Am/G |F C | C G |F C |

 
使われているコードは基本的に C、G、Am、F のたった4つ!
これも彼らにとっては珍しい。

これらのコードは、この曲のキーであるCのダイアトニック・コード、
つまりドレミファソラシドの組み合わせでできるコードで、とても相性がいい。

ダイアトニック・コード同士は、
転調することなく、スムーズにつなぐことができるので、
自然な流れを作り出すことができる。

この曲の、川が上流から下流へ流れるような予定調和的な美しさは、
このダイアトニック・コードによるところが大きい。

転調や凝った展開など、あれこれ複雑に考えるのではなく、
シンプルに流れのままに従ったコード進行。

それはまさに「流れに身を任せよ」という、この曲のメッセージと一致する。

 

「Let It Be」Carol Woods And Timothy T. Mitchum
 


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「レット・イット・ビー」 ~胸にしみる理由(1) [音楽の聴き方]

let_it_be.jpg

<曲名>「Let It Be」The Beatles
<収録アルバム> 『Let It Be』(1970)
<作詞作曲> Lennon-McCartney

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■「レット・イット・ビー」の魅力

クレジットはレノン=マッカートニーとなっているが、もちろんポールの曲。
本国イギリスではビートルズ最後のシングルとなった。
「フリー・アズ・ア・バード」とかは除きます…)
全米1位。アメリカだけで200万枚以上の売り上げを記録。

ローリング・ストーン誌のオールタイム・グレイテスト・ソング500で20位。
ちなみにビートルズでは「ヘイ・ジュード」(8位)、
「イエスタデイ」(13位)に次ぐ(いずれもポールだ!)。

もはや誰もが認める超~名曲。

そんな「レット・イット・ビー」の魅力はどこにあるのか?

メロディの美しさ?・・・イエス!
普遍的なメッセージ?・・・それもイエス!
ポールの切々としたボーカル?・・・もちろんイエス!

どれもイエスだが、ひとつじゃない。

それらが有機的・合理的に結びついて、
詞の世界観(テーマ)を、音楽が見事に体現しているという点に、
この曲の魅力はあると僕は思う。

つまりそれが説得力というものだ。

■ポールの心の叫び

詞の内容は、困難な状況にある自分(ポール)のもとに、
亡き母メアリー(Mother Mary)が現れ、
「なすがままに身を任せなさい(Let it be)」
と啓示的な言葉を投げかけるというもの。

当時ビートルズという沈みかかった船を、
船頭として導こうとするポールであったが、事態は思うようにならない。

そんな中、何かにすがり、救いを求めようとするポールの心情を
この歌はリアルに表現しているように思える。

私小説家のジョンに対し、物語作家と言われるポールだが、
見方によっては、これほど個人的な歌もないのではないか。
だから余計にグッとくるのだ。

■チャリティーで歌われるわけ

この歌はまた、あらゆる困難な状況下にある人々にとって、
共感できる普遍性も持っている。

ポールがいくら否定したところで、そのような人々にとって、
「 母メアリー(Mary)= 聖母マリア(Maria)」であり、
この歌は宗教的な救いの歌として機能するだろう。

「なすがままに」というのは、一見無責任にも聞こえるが、
これは「運命に身をゆだねる」「神の御心のままに」ということで、
その先にはきっと救いがあると言いたいのだろう。
だから、どんなに絶望的な状況にあっても、希望を失ってはいけないという、
ポジティブなメッセージだと僕は捉えている。

この歌が多くのチャリティ・イベントなどで歌われるのも、
きっとそのためじゃないだろうか。

「レット・イット・ビー」が歌われた、主なチャリティー
1985 ライブエイド(アフリカ難民救済)
1987 フェリー・エイド

2001

コンサート・フォー・ニューヨーク・シティ
(9.11の追悼)

 

「Let It Be」Paul McCartney (LIVE AID 1985)


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時間よ止まれ [音楽の聴き方]

「LOVE THAT WAS LOST」矢沢永吉

 

「YES MY LOVE」矢沢永吉

 

「時間よ止まれ」矢沢永吉


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「マニック・マンデー」バングルス [音楽の聴き方]

manic_monday.jpg

<原題> Manic Monday(Bangles)
<作曲> Cristopher
<収録アルバム>『Different Light』1986

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80年代後半に活躍したガールズ・バンドのヒット曲で、
僕はまさにリアルタイムでよく聴いていた。

作者の“Cristopher”とはプリンスのことで、
彼自身の「Dinner With Delores」「All The Midnights In The World」といった、プリティ系の作品にも通じる曲だ。

「Manic Monday」Bangles

星が流れるようなイントロやCメロの展開など、ツボを得たアレンジはさすがプリンス。
スザンナ・ホフスのキュートな歌声(&ルックス!)も魅力だ。

ついでに2曲ほど紹介。
まずはノリのいいこの曲。

「In Your Room」Bangles

スザンナ・ホフスといえば、黒のリッケンバッカー。
いかにもビートルズ好きな彼女らしいこだわりを感じる。
この曲のエンディングにもビートルズの影響が。

次はしっとりとしたこの曲。サビの後半のコード進行が好きだ。
映像はアコギをバックにソロで歌うスザンナ。

「Eternal Flame」 Susanna Hoffs  


タグ:バングルス
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「チューズデイ・ハートブレイク 」スティーヴィー・ワンダー [音楽の聴き方]

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<原題>「Tuesday Heartbreak」Stevie Wonder
<作曲> Stevie Wonder
<収録アルバム>『Talking Book』1972

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ハートブレイクと言うわりに曲調は軽やかで、
“I wanna be with you〜”と繰り返す歌詞もポジティヴに響く。

まるで暖かい陽射しに包まれているような、
ささやかな幸福感すら感じさせてくれるこの曲。
スティーヴィー・ワンダーの中で、僕の最も好きな曲だ。

ほぼ3分ちょうどという短さの中に凝縮された、
珠玉のポップ・センスに、スティーヴィー・ワンダーの天才ぶりが伺える。


「Tuesday Heartbreak」Stevie Wonder

 

マイケル・マクドナルドのカヴァー。
こちらはもっとシリアスな感じ。

「Tuesday Heartbreak」Michael McDonald

 


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『ビフォア・ザ・フロスト/アンティル・ザ・フリーズ』ザ・ブラック・クロウズ [音楽の聴き方]

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『Before The Frost...』The Black Crowes(2009)

 1. Good Morning Captain
 2. Been A Long Time (Waiting On Love)
 3. Appaloosa
 4. A Train Still Makes A Lonely Sound
 5. I Ain't Hiding
 6. Kept My Soul
 7. What Is Home
 8. Houston Don't Dream About Me
 9. Make Glad
10. And The Band Played On
11. Last Place That Love Lives

『...Until The Freeze』The Black Crowes(2009)

 1. Aimless Peacock
 2. Shady Grove
 3. Garden Gate
 4. Greenhorn
 5. Shine Along
 6. Roll Old Jeremiah
 7. Lady Of Avenue A
 8. So Many Times
 9. Fork In The River

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■ユニークなフォーマット

ウッドストックにあるザ・バンドリヴォン・ヘルムのスタジオで、
5日間に渡って録音された20曲のマテリアルは、
『ビフォア・ザ・フロスト』『アンティル・ザ・フリーズ』という
2枚のアルバムに分けて収録されることになる。

タイトルやジャケットからして、この2作はまさに陰と陽、裏と表の対の関係、
あるいは生き別れた兄弟のような関係といってもいい。

普通なら2枚組、もしくは2作同時発売となるとこなんだろうけど、
CD化されたのは『ビフォア・ザ・フロスト』のみで、
『アンティル・ザ・フリーズ』の方は『ビフォア・ザ・フロスト』を買えば、
無料でダウンロード出来るという仕組みだ。

残念ながら日本盤はmp3形式のみだが(なぜ?!)、
輸入盤ではより高音質なflac形式のファイルもダウンロードできる。
個人的には2枚組として出して欲しかったところだけど、
ともかく1枚分の料金で、2枚分の曲をゲットできるのだから、これはお得!

いかにもファンを大事にする彼ららしく、
ファンに金銭的な負担を強いないようにという配慮もあるのだろうが、
何ともユニークで、リスナー・フレンドリーなアイディアではないか。

ちなみに限定のアナログ盤では、
『Before The Frost...Until The Freeze』として、2枚組で発売、
また、iTunes Storeでもひとつのアルバムとして販売されている。

 

■常に新しいことを

「Good Morning Captain」The Black Crowes

彼らはこれまでにも、
いち早く、CDにビデオ・クリップやスクリーン・セーバーを付けたり、
特設サイトへ誘導して、ライブのストリーミングやダウンロードを可能にさせるなど、
CDとPCやネットとの連動をはかってきたし、
Webサイトの充実ぶりも他のアーチストに先駆けていたと思う。

またPAを通したライブ音源を公式ブートレグとしてリリースしたり、
ファン自身にライブの録音を許可したりといったことも。

一見アナログ的に見える彼らだが、
インターネットや、マルチメディアなどに対して早い段階から関心を持ち、
ファンとの関わりにおいても、様々な試みを模索してきたのが彼らなのだ。

そんな姿勢はその音楽にも現れていて、
レトロで保守的に思える彼らの音楽も、何度も書いてきたが(何度でも書こう!)、
アルバムごとに常に進化(深化、新化)を続けている。
だからどのアルバムもまるで違うし、その上どれも素晴らしいときてる!

復活作となった前作『ウォーペイント』は、
それまでと比べ、かなり落ち着いた印象を持ったものだが、
今作ではさらにレイドバックし、渋みを増した感じ。

リヴォンのスタジオでレコーディングされたから、
というわけでもないだろうが、そこかしこにザ・バンドっぽさが。

クリスのヴォーカルも、かつてのエネルギッシュに張り上げるスタイルから、
適度に力の抜けたスタイルに変化。

また、シタール、マンドリン、バンジョー、フィドル、ペダル・スティールなど、
使用されている楽器をみれば、大体どんな方向なのか分かる。


■『ビフォア・ザ・フロスト』

彼らの凄さは、~~風を感じさせても、決してそれだけでは終わらず、
そこに新たなテイストを付加して、独自のスタイルを作り上げていることにある。

例えばこのアルバムからは、
ザ・バンドの他にも、レーナード・スキナードスティーブン・スティルス
フェイセズ
ZEP…といった様々なエッセンスを感じたりもするが、
やはりここにあるのはブラック・クロウズ以外の何ものでもないという、
揺るぎない世界を構築している。

こんなレイドバックした曲の中に、
70年代ディスコ風のビートを刻むT5「I Ain't Hiding」のような異物を
唐突にをぶち込んできたりするのも彼ららしい。
いかにもなコーラスやギターのフレーズなどは、少しこっ恥ずかしくも聴こえるが、
彼らなりの遊び心を感じる曲だ。

T7「What Is Home」は、ブラック・クロウズにおける
リッチ・ロビンソンの初リード・ヴォーカル曲で、
クリスとは真逆の繊細なヴォーカルが曲にハマっていて、これが実にいい感じ。
今後、彼のヴォーカル曲がコンスタントに聴けるようになれば、
バンドとしての深みはさらに増しそう。

「What Is Home」The Black Crowes

 

■『アンティル・ザ・フリーズ』

『ビフォア・ザ・フロスト』の方はロック色が強いが、
『アンティル・ザ・フリーズ』の方は、アコースティック中心で、
カントリー、フォーク色がぐっと強くなっている。

インド音楽とカントリーとブルースとサイケが出会ったような
T1「Aimless Peacock」から、そのディープな世界へ引きずり込まれるが、

とくにT3「Garden Gate」、T5「Roll Old Jeremiah」は、
それぞれフィドル、ペダル・スティールをフィーチャーした、
いかにもなブルーグラス/カントリー調の曲。

ここまで露骨なカントリーへの歩み寄りには、意表をつかれたが、
彼らの奥深い音楽的バックグラウンドや、これまでの歩みを考えれば、
自然に受け入れられる変化でもある。

T2「Shady Grove」は、『アンティル~』の中では唯一ロック然とした
(またしてもザ・バンドの亡霊がつきまとったかのような)曲だが、
印象的なスライド・ギターと隠し味的なピアノがいい感じ。

カントリーとゴスペルがミックスされたようなT5「Shine Along」では、
このアルバムでは稀少な、黒人が憑依したようなクリスのソウルフルな声が聴ける。
ラフな歌い方がたまらない。

T8「So Many Times」はスティーヴン・スティルスのカヴァー。
相変わらずカヴァーのセンスも抜群だ。

 

■噛めば噛むほど…

噛めば噛むほど味が出る音楽というのがあるが、
この2枚は僕にとってまさにそんなアルバムだ。

これまで彼らのアルバムには、聴いた瞬間これはいいと思える曲が
少なくとも1曲はあったが、正直いうと今回そこまでの曲はなかった。

けれどスキップしたいと思う曲もなく、
全曲聴き終えると、また最初から聴きたいと思わせるような作品で、
そうして何度か聴いているうちに、
次第に個々の曲が存在感を持ち始め、愛しくなってくるというような、
そんなアルバムである。

 

■ロックンロール・バンドのバラード

それにしても彼らは相変わらず美しいバラードを書く。
これは貴重な才能だ。

バラード=売れ線という意識からか、
安易にバラードに走るロック・バンドも少なくないが、
その割には、バラードの名曲は少ないという気がする。

最初の1曲2曲はよくても、そのうちどうしても似たり寄ったりになってしまい、
ともすると、そこに作り手の感情の薄まりみたいなものを感じるときがあって、
またか…というようなことがけっこうあるのだけど、

音楽的ボキャブラリーの豊富な彼らの場合、決してそのようなことがなく、
どの曲もエモーショナルで、高純度の輝きを放っている。
そもそもバラードだなんだという以前に、曲としての必然性を強く感じる。

『ビフォア・ザ・フロスト』のT3「Appaloosa」
T8「Houston Don't Dream About Me」、T11「The Last Place That Love Lives」
『アンティル・ザ・フリーズ』のT4「Greenhorn」、T7「Lady Of Avenue A」
T9「Fork In The River」どれもよく出来ている。

「Appaloosa」The Black Crowes


■スタジオ・ライブ録音

レコーディングにはファンが招待され、スタジオ・ライブ形式で録音された。
曲の最後に拍手や歓声が入っているのはそのため。
この拍手はちょっとわざとらしい気もするけど…

それにしても、ライブとは思えないクオリティ!
現役最強のライブ・バンドでもある彼らだから、当然かも知れないが、
個々の技術はもちろん、バンドとして息があっていないと駄目だし、
これだけいい音で録るには、かなり綿密な計算が必要だったのではないか。

 

現在進行形のアーチストで、最も好きなアーチストが彼らだ。
…というのは前にも書いたが、新作を耳にするたびに、そのことを再確認させてくれる。
そんなバンドがいるというのは、きっと幸せなことなんだろう。

どんなに好きなアーチストでも、例えばビートルズに対してさえも、
僕は批判的な視点を持っているつもりでいるのだが、
ブラック・クロウズに関しては、今のところそれがほとんどない。
だからこそ好きだとも言えるのだが…

自分では、決して盲目的に好きなわけではなく、客観的に聴いているつもりだけど、
もしかしたら、単に僕の感覚が麻痺しているだけなのかも知れないと思ったりする。
けれどそれはそれで、それもまたひとつの幸せではないかとも。


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リマスター・ビートルズ 『ラバー・ソウル』〜『ホワイト・アルバム』 [音楽の聴き方]

今回は『ラバー・ソウル』から『ホワイト・アルバム』までを聴き比べてみた。

旧盤とリマスター盤(ステレオ)では、全体のおおまかな印象としては、
『ヘルプ!』で感じたのと同様、リマスター盤は音量もアップし、
クリアでリッチなサウンドになったと思う。

さらにリマスター盤は、低音が強調されヘヴィに。
ベース、バスドラはより太く重く、粘り気を持った感じだ。
ギターもエッジが立ち、ロック・バンドとしてのビートルズを再認識させられた。

例えば『ラバー・ソウル』の「Nowhere Man」など、
つい美しいコーラスに耳が奪われがちだが、こんなにヘヴィな曲だったのかと思う。

 

「Nowhere Man」The Beatles  

モノラルとステレオは当然のことながら別物であり、聴こえ方ももちろん違う。

ビートルズのアルバムは『サージェント・ペパーズ』あたりまで、
モノラル・ミックスに多くの時間と労力が割かれていたというから、
本来エンジニアが意図したミックスを堪能するには、モノラルがいいということになる。

たしかにビートルズのステレオ・ミックスには、
ヴォーカルや楽器の定位が片方のチャンネルに偏った、
アンバランスなものが見受けられる。

けれど僕のように『ヘルプ!』以降のアルバムを
ステレオで慣れ親しんだ人間にとって、
今さらモノと言われてもなあ…という気持ちもある。

やはり空間の広がりや、音質のクリアさではステレオ盤にはかなわない。
モノはどうしても音の濁りや輪郭のぼやけ、高音のジャリっとした感じが気になる。

ただモノのいいところは、一体感のあるサウンドだ。
とくにヴォーカル・ハーモニーが一塊になって飛び込んでくる感じは
モノならではという気がするし、
ビートルズの場合、迫力やライブ感を感じるのはステレオよりもモノが多い気がする。

『ラバー・ソウル』

『ラバー・ソウル』のモノ盤には、『ヘルプ!』同様、
1965年当時のステレオ・ミックス・ヴァージョンが入っていて、
これは定位がはっきり偏ったミックスだが、
旧盤では、ある程度自然に聴こえるようになっていたことから、
初CD化の際に、リミックスされていたのが分かる。
リマスター・ステレオ盤(新盤)は、もちろんこの旧盤をモデルにしている。

『リボルバー』

スタジオ作業に凝り出し、ライブ向きとは言えない曲が多くなってくる
このアルバムでは、むしろステレオの方が、
モノラル以上に迫力を持って迫ってくる曲が多いように感じた。

「Tomorrow Never Knows」などは、ヴォーカルの音量差が歴然で、
明らかにステレオの方が迫力がある。

ただし同じステレオでも「Taxman」「Eleanor Rigby」
「Got To Get You Into My Life」などは、定位の偏りや、音の分離が際立つため、
どうしても個々の音が浮いた感じがし、モノに比べて迫力に欠ける。

「Tomorrow Never Knows」The Beatles


■『マジカル・ミステリー・ツアー』

結局モノかステレオは好みの問題という気がするが、
僕は「Flying」「Blue Jay Way」はモノの方がいいと思った。
「Blue Jay Way」はステレオ盤でははっきり聴こえる、
逆回転風フレーズが聴こえないが、これは個人的にはなくてもいい気がする。
というか、こんな音入ってたっけ?これってミスじゃないの?と思ったくらいだ。
でも旧盤にもちゃんと入ってるし、
いかに「Blue Jay Way」をちゃんと聴いてなかったかってことですね…


「Blue Jay Way」
The Beatles

■『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

当時のエンジニアのジェフ・エメリックは『サージェント』はモノで聴けと言ってるが、
個人的にはステレオ盤に慣れてしまっているので、
モノ盤の方は、なるほどね〜という感じで聴いている。

ただし、
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
「Good Morning, Good Morning」
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)」
あたりは、 モノがいい。

「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のステレオは、
ヴォーカルの定位が片方によってしまっているのが何といっても残念だ。

■『ホワイト・アルバム』

『ホワイト・アルバム』に関しては、
ステレオでヴォーカルが片方に振られているといったような極端な定位もないし、
音の混ざり具合もだいぶ自然なので、
モノよりステレオのアドバンテージが圧倒的に高いだろう。

また「I Will」のモノでは、ステレオでは頭から入ってくるポールの口ベースが、
1コーラス目はまったく聴こえないというのも残念。

「I Will」The Beatles
 


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