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ジェラード 〜逆境が似合う男〜 [サッカー]

リバプール対ウエストハムによるイングランドFAカップの決勝は、
昨年のチャンピオンズリーグ決勝、リバプール対ACミランを思わせるような、
劇的な展開、そして歴史的な一戦となった。

そこで輝きを放っていたのは、またしてもスティーヴン・ジェラードだ。
この試合はまさに彼のために用意された試合だったと言っていい。

ジェラードは、同じ中盤でありながら、ロナウジーニョのような創造性溢れるプレーで
観客を楽しませるタイプ、いわゆるファンタジスタではない。
むしろまるで正反対と言ってもいいような、シンプルでオーソドックスなスタイル。
遊びは一切なく、おそらくプレーの引き出しもそう多くはない。

だがひとつひとつのプレーは正確で力強く、なにより魂を感じさせる。

ベッカムにも匹敵するような正確なロングパス、
精度の高い強烈なミドルシュートなどは、彼の技術の高さを裏付けるものだろう。

しかし彼ほどミドルシュートが絵になる男もそうはいない。
とにかく思いきりよく振り抜くので、見ていて実に爽快だ。
あそこまで行くと、もはや芸術の域ですらある。

ロナウジーニョが常に楽しげに、
時おり笑顔を見せながらプレーするのとは対照的に、
このジェラードは常に眉間にシワを寄せており、
あらゆる苦難を背負い込んだような顔をしている。

ロナウジーニョ…1980年3月21日生まれ。
ジェラード………1980年5月30日生まれ。

奇しくも二人は同年代。(ジェラードくん、まだ25だったの!?)

去年のチャンピオンズリーグ決勝で自らゴールを決めた後に
チームメートを鼓舞するジェラードの姿が印象に残っている。
あのときもチームを絶望の縁から救ったのは彼の一発からだった。

この日も、ウエストハムに2点を先攻されるという、不利な展開。
だが、逆境になればなるほど力を発揮するのが、
このジェラードという男なのかも知れない。

反撃ののろしとなる一点は、そのジェラードのロングパスを
シセがダイレクトボレーで決めたものだ。
後方からのボールにうまく合わせたシセもスーパーだが、
そこにピンポイントで合わせるジェラードも凄い。

同点となる2点目は、ジェラード自らゴール前で高くバウンドしたボールを、
走り込みながら、うまく身体を倒して豪快にボレーシュート。
抑えの利いた素晴らしいシュートだ。

その後、ウエストハムに3点目を決められると、
さすがにリバプールの選手たちも運動量が落ち、
ジェラードはじめ、足をつる選手の姿もチラホラ見られるようになった。
ここまでかと思われた、ロスタイム直前、
またしても、この男がやってくれた!

ジェラード!ジェラード!ジェラード〜〜〜!
(いや〜思い返しただけで興奮してしまいますね〜)

ややゴールから遠い位置にいたジェラードの元へこぼれ玉が転がってくると、
迷うことなく右足を一閃、彼の真骨頂であるミドルシュートが
豪快にサイドネットを突き刺した。
これはシビれた!

それは時間もないし、一か八か放ったというようなシュートではなく、
絶対決めるんだという気持ちの乗った、まさに魂のこもった一発。
シュート自体も美しく完璧だが、
あの時間でゴールを決め、追い付いたということに価値がある。

しかし、うまいこと役者のところへボールが転がってくるものだ。
そういう重要な場面でチャンスが巡ってきて、またそれをものにできるというのは
選ばれし男のみしかできない。
この試合のジェラードは本当に神がかっていた。

結局延長でも決着つかず、勝負はPK戦へ。
まさにチャンピオンズリーグのときと同じ展開。
そしてあのときと同じ、勝ったのはやはりリバプール…

いやあ、凄い試合。凄いゴールでした。


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