「移民の歌」レッド・ツェッペリン [音楽の聴き方]
<原題> Immigrant Song(Led Zeppelin)
<作曲> Jimmy Page & Robert Plant
<収録アルバム>『How The West Was Won』(Atlantic/7567 83587-2)
[2003]
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2、3曲いい曲があったとしても、アルバム全体でいいと思えるものはそうはない。
また1枚いいアルバムを作っても、2枚、3枚と作り続けることは難しい。
運よく同じクオリティのものを作れたとしても、同じ路線上にある作品では
やがて新鮮味が薄れ、物足りなさを感じてしまう。
だからこそ、常に刺激的で、野心に満ちたアルバムを作リ続けていくことができる
アーチストというのは、特別な存在なのである。
例えば、ビートルズやレッド・ツェッペリンのように。
野球の世界では3割打てればいいバッターとされるが、
音楽の世界でも多分似たようなものだろうという気がする。
そんな中にあって、レッド・ツェッペリンは
打率8割ぐらいの驚異的なバッターだ。
通算安打、通算本塁打ではビートルズに譲るとしても、
通算打率ではレッド・ツェッペリンの方が上だろう。
■
ツェッペリンの活動期間は、約10年。
他の大物バンドに比べると決して長いとは言えない。
ジョン・ボーナムの死という不幸があったにせよだ。
しかし変わりのメンバーを入れず、バンドにピリオドを打ったことは
ある意味では良かったように思う。
通算打率が高いまま現役引退できたのだから。
しかしツェッペリン解散後のメンバーの活動はいまいちパっとせず、
寂しいものを感じていた。
ツェッペリンではあれほどの才能を発揮したジミー・ペイジだが、
その後、ポール・ロジャース、デヴィッド・カヴァデールという
稀代のボーカリストたちと組んだにも関わらず、
印象に残るほどの作品を残せていない。
ツェッペリンの新作があり得ない以上、
ジミー・ペイジの活動に期待するしかないのだが、それもできない。
そんな中、手にしたのがこのライブ盤『How The West Was Won』だ。
■
ツェッペリンは本当に名曲が多いのだが、
この「移民の歌」は、僕の中ではそれほど上位にくるものではなかった。
ドラマチックな展開やギターソロは一切なく、呆気なく終わってしまうし、
アコースティックなアルバムの中にあって、直球すぎるハードロック的な曲調は
ひとつだけ違うパズルのピースが紛れ込んだように収まりが悪い。
だが、この『How The West Was Won』のライブバージョンは
そんな認識を覆させるほど、良い出来だ。とにかくかっこいい。
何がかっこいいって、スタジオ盤にはないギターソロ !
ワンコード1発によるソロは、どこか異国風の響きがあり、
ワイルドで激しく、そしてペイジにしては滑らかに弾ききっている。
終盤での不協和音ぽいコードの外し方などもスリリング。
オープニングを飾るだけあって、素晴らしい出来だ。
ジミー・ペイジのソロの中でも、個人的にはベストに入る出来だと思う。
パズルのピースが収まるべきところに収まった感じだ。
■
ちなみにこの「移民の歌」は往年のプロレスファンには懐かしい、
ブルーザー・ブロディーの入場テーマ。
当時はツェッペリンと認識していたわけではないが、
思えば最初のツェッペリン体験がこの曲だったように思う。
★Today's Set
1. Immigrant Song(Led Zeppelin)Live
2. Immigrant Song(〃)Studio
3. Iron Man(Black Sabbath)
4. One Of These Days(Pink Floyd)
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