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『ライオン』ザ・ブラック・クロウズ ~再び潜水生活~ [音楽の聴き方]

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「Lions」The Black Crowes(2001)

 1. Midnight From The Inside Out
 2. Lickin'
 3. Come On
 4. No Use Lying
 5. Losing My Mind
 6. Ozone Mama
 7. Greasy Grass River
 8. Soul Singing
 9. Miracle To Me
10. Young Man, Old Man
11. Cosmic Friend
12. Cypress Tree
13. Lay It All On Me
14. Love Is Now (Bonus Track)

プロデュース:Don Was

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■再び潜水生活

しかしまた、B級っぽいジャケットが不安を誘うが、
中身の方は心配無用だ。

前作で海面に姿を現したブラック・クロウズは、
さすがに(何度もいうようだが)同じところに留まることをよしとせず、
自らの音楽を深めるべく、再び潜水を始めた。

通算6作目のオリジナルアルバム。
そして現在のところ、最後のオリジナルアルバム『ライオン』
前作が王道だとすれば、今作はオルタナティヴな魅力に充ちている。

T-1「Midnight From The Inside Out」は、
胸を締めつけるように、激しく悶える轟音ギターから始まる、
サイケ&ヘヴィな曲。
イントロを一度止めて、また始めるところもいい。

T-2「Lickin」は、ボーカル、ギター、ベースのユニゾンがかっこいい、
モダンな雰囲気の曲。スイッチング&タッピングによる斬新なギターリフには、
リッチの研究熱心さが伝わってくる。

T-5、T12、T13などストリングスの効果的な導入も耳を引く。
T-12「Losing My Mind」のサビのメロは、ぞくっとくるほど感動的。
後半での転調による盛り上がりも、彼らにとっては新しい試み。

ファンキーなT-6「Ozone Mama」「Young Man, Old Man」での
クリスのボーカルは、もはや黒人以上に黒っぽい。

T-7「Greasy Grass River」は豪快な3拍子(!)のブルース・ロックで、
プログレッシブ&サイケなフィーリングもある。

アコースティック・ゴスペルとも言うべき、T-8「Soul Singing」
ゴスペル風のシャウト&コーラスを聴かせるサビの、
バッキングギターのヴォイシングが美しい。

可愛らしい感じの前半から、サイケな後半へと
組曲風の展開を見せるT-11「Cosmic Friend」も好きな曲だ。

ボーナス・トラック「Love Is Now」は、本編に入ってもおかしくない佳曲だし…
うーん、やっぱりどの曲もいい!!

このように、楽曲はバラエティに富んでいるが、
『スリー・スネイクス~』のような散漫さはなく、
自然に受け入れられるところに、彼らの成長を感じさせる。
これほどバラエティに富んだ曲を、
違和感なくスムーズに聴かせられるバンドがいるだろうか?

『アモリカ』でも一部でみせた、曲間のつながりが、
ここではほぼ全編に渡ってなされているため、非常に流れを感じる。
AB面に別れたアナログ盤を意識したのか、
T1~T6、T7~T13に分かれているように感じるのだが、どうだろう。

もはや彼らを単なるレトロなロックンロール・バンドだというものはないだろう。

ロックンロール、ブルース、ファンク、ゴスペル、
フォーク、サイケ、ヘヴィ・メタル、…様々なジャンルを血肉化した彼らは、
もはや「ブラック・クロウズ」としか呼びようのない、
自らの音楽性、ジャンルを築き上げたといっていい。

今のところ、このアルバムが彼らの最後のオリジナルアルバムとなっている。
だがそれから7年、ついに彼らのニュー・アルバムが出る。

心配性の僕は、何事も期待しないようにしているのだが、
彼らに関してだけは、そんな心配はしていない。

だってこれまで、がっかりさせられたことはないし、
彼らがアルバムを出すからには、納得いくものが出来たということだと思うから。

ただアルバムを出すだけだったら、彼らの場合いくらでも出せたと思う。
それをしなかったのは、納得いくものが作れなかったからだろうし、
(もちろん、バンドをとりまく状況などの問題もあるとは思うけど)
それはフェアじゃないと思っていたに違いない。

この7年という決して短くない歳月は、
彼らにとって、納得のいく作品を作るのに必要な期間だったのだろう。

たとえ、そのまま終わっていたとしても、
ぼくは彼らが、こんなにも素晴らしい音楽を、
多く残してくれたことに満足しているし、感謝したいと思っている。

でもとにかく彼らは戻ってきた。
新作が待ち遠しくて仕方ない。
こんなに何かを待ちこがれるのは久しぶりだ。


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