エルダ- 〜ライブ・アット・ザ・ブルーノート東京〜 [音楽の聴き方]
先日、ブルーノート東京に、弱冠20歳の天才ピアニスト、
エルダーのライブを観に行った。
以前とりあげたように、デビュー作があまりに素晴らしかったので、
次に来日したら、是が非でも観に行こうと決めていた。
ところがチケットを予約したあとで、新作の『Re-Imagination』を聴いたのだが、
これが正直期待はずれだったので、今回のライブに対するモチベーションが
少し下がってしまっていた。
新作はメロウな曲が多く、スウィンギーなジャズが減っていたので、
ライブにもこの傾向が反映されるのではないか、と心配になる。
また直前まで、メンバーが未定となっていたことも不安をあおった。
当然ピアノトリオというスタイルを期待していたが、
メンバーが決まらずに、ソロでの来日になるんではないか。
あるいは決まったとしても、急遽決まったようなメンバーで
息の合った演奏ができるのか。
しかし、そんな不安は杞憂だった。
最高のピアノトリオによる、約1時間強のステージはあっという間に終わった。
■
どこにでもいそうな普通の青年が、
ぶらっとコンビニでも入るような感じで
エルダーが入場してくる。
椅子に座るなり、ウォームアップでもするかのように、
自然に弾き始めたジャジイなプレイに期待が高まる。
ベース、ドラムが入るや一気にボルテージが上がり、
怒濤のライブがスタートした。
「すげえ!」一緒に行った友人と顔を見合わせる。
さすがにエルダーのプレイは、看板に偽りなしといったプレイ。
超速弾きでは、まるで何かに憑かれたかのように顔つきが変貌する。
ものすごい集中力で鍵盤を凝視しているのが分かる。
だが、それ以上に目を奪われたのがドラムのアーロン・マクレンドン。
テクニックはもちろん、魅せ方も心得ている。
なによりエネルギッシュなプレイは圧巻。
まだ若そうに見えるけど、かなりの達人と見た。
そんなわけで、ドラム5、ピアノ3、ベース1、全体1
ぐらいの割合で目線が行ってました。
終わってみれば全編ホットなジャズフュージョン大会で、
唯一のバラードも含め、素晴らしい出来。
急遽メンバーが決まったとは思えないほど、息の合ったプレイで
細かいところまできっちり合っている。
まるで長年このメンバーでやってきているかのようだ。
実際のところはどうか知らないが、
優れたミュージシャンが集まれば、ちょっと合わせただけで
最高の演奏が出来るものなのだろう。
■
とにかく驚くべきテクニックと、若さ溢れるステージだった。
ベテランのプレイというのは、若手には決して到達できない領域があるが、
逆に、やはり若手には若手ににしか表現できない領域があって、
たとえば向こう見ずな生きのよさみたいなものがそうだとすれば、
この日のピアノトリオのライブは、
そんな若さゆえの魅力が、十分堪能できるライブだった。
今夜のライブは間違いなく、世界最高峰の一角を占める
プレーヤーたちのとびきりの熱演と言えるだろう。
機会があれば、ぜひ観たほうがいいです!!
★Today's Set
1. Sweet Georgia Brown(Eldar)
2. Moanin'(〃)
3. Take The "A" Train(〃)
音楽のテクニックに関してはよくわかりません。
昔、オリンピックで興奮したバスケットのドリームチーム。
彼らにはチームとしての練習など必要なく、
NBAのオールスター戦でも、特別な練習は必要がないらしい。
一流のプレイヤーが持つ感覚や、
パスのタイミング、ポジショニングなどには通じるものがあるそうです。
だから特別に練習する必要など無いと。
音楽もきっとそうなんでしょうね。
超一流の感覚。
凡人の僕には一生を以ってしてもわからないことなんでしょうけど・・・
by another-K (2007-09-09 23:19)
> another-Kさん
いざというときに特別に練習する必要がないというのは、
きっとそこへ行くまでに相当の練習を積んできたからこそ
できるんでしょうね。
by walrus (2007-09-10 01:15)
失礼。
言葉が足りませんでしたね。
一流の人間同士がプレイする時には、
特別な練習を積む必要がないらしいということです。
感覚的に一致するものが多かったり、そういうことらしいです。
by another-K (2007-09-10 17:41)