『アビイ・ロード』ザ・ビートルズ [CDジャケット]
『Abbey Road』The Beatles(1969)[TOCP 51122]
写真 : Iain MacMillan
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多くのパロディを生んだ、あまりに有名なジャケット。
ファンでなくとも、この場所に行けば、
同じようなポーズで、思わず写真を撮りたくなるに違いない。
多分…
■ポール死亡説
『アビイ・ロード』が出た69年当時、ポール死亡説がささやかれ、
このアルバムジャケットも、その根拠の一つとされた。
例えば、ポールだけ裸足なのは、死人だからで、
ジョンが神父、リンゴは葬儀屋、ジョージは墓堀人を意味するとか、
後ろのワーゲンのナンバーが「28IF」で、
もし(IF)ポールが生きていれば「28」才という暗号であるとか…
もう、ほとんど都市伝説的な、こじつけの世界なんだけど、
中にはなるほど、と感心してしまいそうな発想もあって、
この手の話が好きな人には、けっこう楽しめるかも知れません。
■幾何学的な構図
ま、それはさておき…
このデザイン、とても整然とした印象がある。
どこか幾何学的で、恣意的な美しさを感じます。
まず、横断歩道を渡る4人が、一直線に均等に並んでいる。
普通こんなに綺麗に1列に、ましてや等間隔になるものだろうか。
足の開く角度もほぼ一緒だし。
現実的には、ちょっと不自然ではあるが、
デザイン的には、数学的な規則性というものが感じられる。
どこまでもまっすぐに伸びていくように見える道路は、
真横から2次元的に捉えられた4人とは対照的に、3次元的な表現だ。
画面中央へ向かって、遠近線が収束する、一点透視図法的な構図で、
かなり奥行きが強調されている。
それは一つに結束しようとする、バンドの意思を象徴しているようでもある。
そして全体は、シンメトリック(左右対称)な構図になっている。
と、ここまで考えたところで、あるひとつの絵が頭に浮かんだ。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」である。
「最後の晩餐」も、キリスト以下12人の使徒が、
テーブルに沿って、横1列に配置されているし、
画面中央(キリストの頭上)を焦点とする、一点透視図法によって描かれている。
また、シンメトリックな構図という点でも符合する。
■最後の晩餐
ビートルズのラスト・アルバムは『レット・イット・ビー』だが、
レコーディングされたのは「アビイ・ロード」の方があと。
「レット・イット・ビー」の出来に満足いかなかった4人が、
最後にもう1度だけ力を合わせて、納得いく作品を残そうと奮起したのが、
この「アビイ・ロード」だ。
その名も「The End」という曲が、収められていることからも分かるように、
彼らの中に、これで最後だという意識があったのは確かで、
そうした思いが結実し、このアルバムは素晴らしい傑作となった。
「アビイ・ロード」は、ビートルズにとって、まさに「最後の晩餐」だ。
そう考えると、ジョンがキリストに見えてくるから不思議。
★Today's Set
1. The End(The Beatles)
☆ あたしは最初にこのジャケットのジョンを見たとき,「雄ライオン」というイメージが浮かんでいました。もう30年以上前の話ですが(苦笑)。。。
by deacon_blue (2007-10-20 15:20)
> deacon_blueさん
いつもnice!&コメントありがとうございます。
なるほど、見えますね、雄ライオンに!
立派なたてがみが生えてます。
by walrus (2007-10-20 18:28)
ABBEY ROADいいですよね!
ABEEY ROADを幾何学的に捉える。。。
凄く面白く読ませていただきました。
確かに、最後の晩餐と隣する部分がありますよね。
The Endのあとに、
Her Majestyが存在するのも”粋”ですよね。
by SHooter-ism (2009-02-24 12:08)
SHooter-ismさん、コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、Her Majesty が粋ですよね。
最初の頃は、いらないんじゃないの!と思ったりもしましたが、
やっぱりあるのとないのじゃ違いますよね。
遊び心があって、ビートルズらしいなって思います。
by walrus (2009-02-25 02:16)