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『ビートルズ・バラード・ベスト20』ザ・ビートルズ [CDジャケット]

『The Beatles Ballads 20 Original Tracks』The Beatles(1980)[EAS 91006]
イラスト : John Patrick Byrne

Side1
 1. Yesterday
 2. Norwegian Wood
 3. Do You Want To Know A Secret
 4. For No One
 5. Nowhere Man
 6. You've Got To Hide Your Love Away
 7. Michelle
 8. Across The Universe
 9. All My Loving
10. Hey Jude

Side2
 1. Something
 2. The Fool On The Hill
 3. Till There Was You
 4. The Long And Winding Road
 5. Here Comes The Sun
 6. Blackbird
 7. And I Love Her
 8. She's Leaving Home
 9. Here, There And Everywhere
10. Let It Be
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僕が最初に買ったビートルズのアルバムがこれ。
その名の通り、ビートルズのバラードばかり集めた編集盤で、
当時はこういう編集盤が、けっこう出ていた(もちろんLPの時代)。

ビートルズ初心者だった僕にとって、
いきなりオリジナル盤を買う勇気はなかったし、
『赤盤』『青盤』は、中学生には金銭的に手が出せない。

そこで、大好きだった「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」の3曲が1枚に入ってるという理由で、
このアルバムを買うことにした。

初期から後期にかけて、バランスよい選曲で、曲数や曲順も考えられている。
(それぞれの面のアタマと終わりに「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」
「サムシング」「レット・イット・ビー」というのは納得。)

ただ自分だったら「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」
「ティル・ゼア・ワズ・ユー」「ブラックバード」は外して、
「イン・マイ・ライフ」「恋におちたら」、「ユア・マザー・シュッド・ノウ」
あたりを入れるんだけどなあ。

また、当時は"バラード"というと、スローな曲というイメージしかなく、
「オール・マイ・ラヴィング」とか「ヒア・カムズ・ザ・サン」とか、
「これってバラードなの? 」という違和感がありました。
あとで、バラードというのは、もともと物語的な歌のことであり、
テンポを規定するものではないと分かるんですが。

そのせいか、このジャケットのイラストは、
ポップなビートルズにしては珍しく、物語的。
それも“ほんとは怖いおとぎ話”的で、ちょっと不気味なタッチのイラストです。

猫の顔など妖怪みたいだし、
よく見るとリンゴの手の向きが逆だったり。
今風に言えば "キモかわいい"というんでしょうか。

でも見れば見るほど、味わい深くて好きなジャケットです。


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『リボルバー』ザ・ビートルズ [CDジャケット]

『Revolver』The Beatles(1966)
デザイン : Klaus Voorman
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浮遊感のあるメロディ、逆回転やSE、
リズムの撹乱、ループ、インドテイストなど、
サイケデリックな要素がぎっしりつまった『リボルバー』だが、
そんなにサイケ臭が感じられないのは、
もちろん個々の楽曲の突き抜けた魅力もあるが、
Klaus Voormanによる、センスのいいジャケットのせいもあるだろう。

写真を切り貼りするコラージュという手法は、
サイケの定番パターンといっていい。
ただ、いかにもサイケなデザインというのは、
どうしても時代性を感じてしまうものだが、
このジャケットは、極彩色でなくモノクロにしたことと、
ノーマルな書体を使用したことで、
サイケ臭のない、すっきりと洗練されたデザインとなった。
まるで臭わない納豆みたいなものである。

おかげで時代性の鎖に絡めとられることなく、
鮮度を保つことに成功した。
それはまさに『リボルバー』の音楽にも言えること。

本作の芸術性を象徴するような、見事なジャケットだ。


★Today's Set
1. Taxman(The Beatles)
2. Eleanor Rigby(〃)
3. I'm Only Sleeping(〃)
4. Love You To(〃)
5. Here, There And Everywhere(〃)
6. Yellow Submarine(〃)
7. She Said, She Said(〃)
8. Good Day Sunshine(〃)
9. And Your Bird Can Sing(〃)
10. For No One(〃)
11. Doctor Robert(〃)
12. I Want to Tell You(〃)
13. Got to Get You into My Life(〃)
14. Tomorrow Never Knows(〃)

★And More
『アビイ・ロード』ザ・ビートルズ
『ラバーソウル』ザ・ビートルズ


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『アビイ・ロード』ザ・ビートルズ [CDジャケット]

『Abbey Road』The Beatles(1969)[TOCP 51122]
写真 : Iain MacMillan
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多くのパロディを生んだ、あまりに有名なジャケット。
ファンでなくとも、この場所に行けば、
同じようなポーズで、思わず写真を撮りたくなるに違いない。 多分…

ポール死亡説

『アビイ・ロード』が出た69年当時、ポール死亡説がささやかれ、
このアルバムジャケットも、その根拠の一つとされた。

例えば、ポールだけ裸足なのは、死人だからで、
ジョンが神父、リンゴは葬儀屋、ジョージは墓堀人を意味するとか、
後ろのワーゲンのナンバーが「28IF」で、
もし(IF)ポールが生きていれば「28」才という暗号であるとか…

もう、ほとんど都市伝説的な、こじつけの世界なんだけど、
中にはなるほど、と感心してしまいそうな発想もあって、
この手の話が好きな人には、けっこう楽しめるかも知れません。

幾何学的な構図

ま、それはさておき…

このデザイン、とても整然とした印象がある。
どこか幾何学的で、恣意的な美しさを感じます。

まず、横断歩道を渡る4人が、一直線に均等に並んでいる。
普通こんなに綺麗に1列に、ましてや等間隔になるものだろうか。
足の開く角度もほぼ一緒だし。

現実的には、ちょっと不自然ではあるが、
デザイン的には、数学的な規則性というものが感じられる。

どこまでもまっすぐに伸びていくように見える道路は、
真横から2次元的に捉えられた4人とは対照的に、3次元的な表現だ。

画面中央へ向かって、遠近線が収束する、一点透視図法的な構図で、
かなり奥行きが強調されている。
それは一つに結束しようとする、バンドの意思を象徴しているようでもある。

そして全体は、シンメトリック(左右対称)な構図になっている。

と、ここまで考えたところで、あるひとつの絵が頭に浮かんだ。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」である。

「最後の晩餐」も、キリスト以下12人の使徒が、
テーブルに沿って、横1列に配置されているし、
画面中央(キリストの頭上)を焦点とする、一点透視図法によって描かれている。
また、シンメトリックな構図という点でも符合する。

最後の晩餐

ビートルズのラスト・アルバムは『レット・イット・ビー』だが、
レコーディングされたのは「アビイ・ロード」の方があと。

「レット・イット・ビー」の出来に満足いかなかった4人が、
最後にもう1度だけ力を合わせて、納得いく作品を残そうと奮起したのが、
この「アビイ・ロード」だ。

その名も「The End」という曲が、収められていることからも分かるように、
彼らの中に、これで最後だという意識があったのは確かで、
そうした思いが結実し、このアルバムは素晴らしい傑作となった。

「アビイ・ロード」は、ビートルズにとって、まさに「最後の晩餐」だ。
そう考えると、ジョンがキリストに見えてくるから不思議。


★Today's Set
 1. The End(The Beatles)


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『The Complete Recordings』ロバート・ジョンソン [CDジャケット]

『The Complete Recordings』Robert Johnson(1990)[467246 2]
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■少ないマテリアル

伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソン

そのロバート・ジョンソンのCDジャケットを眺めていると、
同じような写真が多いことに気づく。
全部を網羅した訳ではないが、本人の写真が使われているものに限れば、
おそらくたった2種類しかない。

これは無論、それしか写真がないからである。
実際にはもう1枚写真があるが、そちらは他の2枚に比べると別人のようだし、
あまりイケてないので、多分使われていないのだろう。
(それにしても、使える写真が2枚しかないというのは、
ジャケットデザイナーにとっては、頭痛の種だろうなぁ)

もっとも27年という彼の短い生涯、また戦前という時代背景を考えれば
残された写真が少ないのも、仕方ないのかも知れない。

ただその写真にしたって、発見されたのは80年代に入ってからのことで、
それまで彼についてのビジュアルは一切公開されておらず、
それが彼の神秘性をより高める要因になったといっていいだろう。

音源にしても、残されているのはわずか29曲(42テイク)である。
そうしたロバート・ジョンソンに関する物証の少なさは、
どうしたって想像力の入り込む余地を大きくするだろうし、
時代の古さは、彼について、逸話や伝承的な性格を強めるだろう。
そんな中から、ギターの腕と引き換えに、悪魔に魂を売ったという
伝説が生まれたのだとしても不思議ではない気がする。

★Today's Set
 1. Crossroad(Cream)
 2. Love In Vain(Rolling Stones)
 3. Terraplane Blues(Robert Johnson)


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『詠時感〜時へのロマン〜』エイジア 〜三角形の構図〜 [CDジャケット]

 

エイジア:1982年、元バグルス、イエスのジェフ・ダウンズ、元キング・クリムゾン、UK、ユーライア・ヒープのジョン・ウェットン、元イエスのスティーヴ・ハウ、元ELPのカール・パーマーというプログレ界の錚々たるメンツによって結成されたスーパーグループ。プログレの方法論をキャッチ−でポップなロックに昇華した。


■「A」のこだわり

『Asia』『Alpha』『Astra』…というように、
エイジアのオリジナル・スタジオアルバムのタイトルは
「A」で始まり「A」で終わるという暗黙のルールがあって、
8枚目の『Silent Nation』によって破られるまで続きます。

さすがにその縛りはきつくなったんでしょうか。
そもそも最初から無理があるんじゃないかとは思ってましたが、
彼らもまさかここまでバンドが続くと思ってなかったんでしょう…

ちなみに3枚目の『Astra』は当初『Arcadia』になる予定だったそうですが、
デュラン・デュランのメンバーによる同名のユニットが
同時期にデビューしてしまったために、急遽差し換えられたとのこと。

■三角形の構図

さてそんな「A」のこだわりは、アルバムジャケットにも見られます。
ロジャー・ディーンのイラストがカッコいい1stアルバム『Asia』のジャケットは、
ロゴが「A」をモチーフとした三角形になっていて、
さらに全体が「A」をモチーフとした三角形をなしているという見事な構図!

絵画において三角形は安定した構図であり、
ダ・ヴィンチラファエロも三角形の構図を好んだとされます。
ラファエロの「ベルヴェデーレの聖母」を例に出せば、
下図のように見事な正三角形をしているのが分かります。
『Asia』の場合も正三角形に近い二等辺三角形をしており、
非常に安定した構図と言えます。

特に西洋の宗教画において、三角形は三位一体を表し、
信仰を強固なものにする装置として、安定した三角形の構図が
機能したことは想像に難くないでしょう。
そういえば、ピラミッドや富士山に対して抱くある種の親しみの感情も
やはり三角形の安定感に起因しているのかもしれません。

このように三角形は、人々に心理的に受け入れられやすい、
つまりポップであると言えます。(ちょっと、強引ですが…)
ポップ、それはとりもなおさずエイジアの音楽性を表すものです。

実際アルバムはその年のNo.1となり、
全世界で1500万枚を売り上げるヒットを記録。(数字はWIkipediaより)
またそこからは「Heat Of The Moment」などのシングルヒットも生まれたりと、
文字通りポピュラリティを得ることに成功したわけです。

1982年ビルボード年間アルバムチャート

順位 タイトル アーチスト
1 詠時感〜時へのロマン〜 エイジア
2 ビューティー・アンド・ザ・ビート ザ・ゴーゴーズ
3 4 フォリナー
4 アメリカン・フール ジョン・クーガー
5 フリーズ・フレイム J・ガイルズ・バンド
6 エスケイプ ジャーニー
7 ゲット・ラッキー ラヴァーボーイ
8 麗しのベラ・ドンナ スティーヴィー・ニックス
9 炎のランナー ヴァンゲリス
10 ゴースト・イン・ザ・マシーン ポリス


■不安定な要素

一方、この絵を構成しているドラゴン、海、しぶき、暗雲は、
「安定」とは相容れない要素です。
それらがイメージするのは不安、緊張、ドラマ性といったもので、
特にドラゴンの鼻先の球体が、物語感を強調しています。

それはこれから何か凄いことが起こるという予感に満ちた、
まさにスーパーバンドの門出にふさわしいデザインと言えるでしょう。

それらはまた、彼らのルーツである、プログレを象徴するものでもあります。
例えば、変拍子や不協和音がイメージする不安感、
あるいはテクニカルなフレーズ、歪んだサウンドなどによる緊張感、
またドラマティックな曲調…といった具合に。

そもそもロジャー・ディーンの起用自体に、
プログレへの彼らの思いが込められているような気がします。

ロジャー・ディーンと言えば、プログレの代表的なバンド、
イエスのジャケットで有名ですが、
他にも、ユーライア・ヒープアトミック・ルースターなどを手掛けていて、
それらはどれも、エイジアのメンバーがかつて在籍していたバンドです。
そんなことからも、プログレという自らのルーツに対する誇りのようなものを感じます。

つまり不安定な要素を三角形という安定した構図で描いたこのデザインは
エイジアのルーツであるプログレ(=不安定)をポップ(=安定)に昇華した
彼らの音楽性のメタファであると言えるんじゃないでしょうか。

一部のプログレファンからは、裏切り行為のようにも思われたエイジアのポップ路線ですが、
あくまでプログレをルーツとしながらも、それを発展させたものであることが、
ジャケットからも分かります。

■三角形の衰退とポピュラリティの消失

三角形という観点でエイジアの各アルバムを見た場合、
最も顕著に三角形が見出せるのがこの『Asia』で、以降徐々に三角形は弱まっていきます。
皮肉にも彼らのキャリアの中で最も売れたアルバムが、この『Asia』であり、
以降バンドは徐々にポピュラリティを消失していくことになります。

2ndアルバム以降のデザインは以下の通り。

『Alpha』(1983)
ジャケット・デザイン: ロジャー・ディーン

底面が強調され、より安定度を増した。
サウンドもよりポップ(安定)に。

『Astra』(1985)
ジャケット・デザイン: ロジャー・ディーン

1stの雰囲気に近付くも、ややバランスに欠ける。
ここまでは三角形の構図がわりとはっきりしていた。
サウンドはよりハードに。

『Aqua』(1992年)
ジャケット・デザイン:ロドニー・マシューズ 

ここからバランスが崩れはじめる。
イルカに生えた羽が三角形を突き破る。
デザイナー交替。
ボーカルも交替でまるで別バンドのよう。

『Aria』(1994年)

ロゴのみに三角形が残るも、
バンド名とタイトルで作っていた三角形が
分断される。

『Arena』(1996年)
ジャケット・デザイン:ロドニー・マシューズ

アルバム名のフォントが大きく変わる。

『Aura』(2000年)
ジャケット・デザイン: ロジャー・ディーン

アルバム名のロゴやピラミッドは復活するも、
中央に配置されてきたタイトルは
左右に分断される。

『Silent Nation』(2004年)

イラストから実写に変わり、もはやロゴ以外に共通項はない。


先日オリジナルメンバーで来日しましたが、
今さらながら、ライブに行っておけばよかったと後悔しています。
高校の頃、最も好きなバンドだったんですよねえ。

しかし来年にはニュー・アルバムが出るかも知れないということで、
果たしてどんなサウンドになるのか?
どんなジャケットになるのか?
そもそもタイトルの「A」のこだわりは復活するのか?…
興味は尽きません。

 

★Today's Set
 1. Heat Of The Moment(Asia)
 2. Sole Survivor(〃)
 3. Time Again(〃)
 4. Wildest Dreams(〃)
 5. Here Comes The Feeling(〃)
 6. The Heat Goes On(〃)
 7. True Colors(〃)
 8. The Smile Has Left Your Eyes(〃)
 9. Eye To Eye(〃)
10. Open Your Eyes(〃)


タグ:エイジア
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『フリー』フリー [CDジャケット]

『Free』Free(1969)[UICY-6223]
<Design> Ron Raffaelli
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アングルがすべて!

一瞬分かりづらいかも知れないけど、
よく見ると人を真下から見上げた構図とわかります。

もうこのアングルがすべて!
普段この角度から人を見ることがないだけに、
視覚的なインパクトは相当なものがあります。

大きく開き、綺麗に伸びた手足が、優雅に飛び跳ねるバレエダンサー、
あるいは空中を闊歩する鳥人を思わせます。

くっきり出ている体のラインが美しいですね。
同時にとてもダイナミックで躍動感に溢れています。

画面上で最も長い線である対角線上に開き、しかもはみ出した足。
対照的に小さく描かれた手。
極端な遠近法がスケール感を感じさせます。
この人物、なんとなく巨人に見えないですか?

体の部分は逆光で暗くなってるのかと思ったら、
星空になっていたんですね。なんともシュール。
背景の青空との対比が見事です。

画面上部中央に、普通ならあり得ないほど小さく、
バンド名及びタイトルの「Free」(自由)の文字。
うっかりすると見過ごしてしまいそうです。

しかしこの絵の人物が、まさに「自由」を掴もうとしている
と考えれば納得いきます。

つまりこの文字、人物と同じ空間、しかも手よりは高い位置にあり、
やはり遠近法で小さくなっているというのがわかります。

タイトルのPRよりもデザインを優先させたもので、遊び心がある。
そこにストーリーが付与され、ジャケットとしての深みが増しています。

しかし、レコードサイズならまだいいけどCDサイズになるとちょっとつらい。
デザインした当時は、ジャケットがこんなにコンパクトになってしまうなんて、
想像もつかなかっただろうけど。

残念なのは、僕の持ってる盤のジャケットが、あまりいい紙を使ってないせいか、
雲の白い部分に裏の文字が透けて見えてしまっていること。
上の画像でも確認できると思いますが、これはないよ〜。


タグ:FREE フリー
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『恐怖の頭脳改革』エマーソン、レイク&パーマー [CDジャケット]

『Brain Salad Surgery』Emerson,Lake & Palmer(1973)[RHINO/R2 72459]
<イラスト> H.R.ギーガー
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■CDならではのデザイン

イラストは、あのエイリアンのデザインでお馴染みのH.R.ギーガー

最近は紙ジャケなどで、オリジナルのLPに忠実なジャケットが
多く出回るようになったが、

CDのケースの特質を生かし、
オリジナルとはひと味違った、独自の表現を試みたものもある。
EL&Pの『恐怖の頭脳改革』がそれだ。

LP盤は2枚重ねで、
中央の穴から下の絵(女性の口元)が覗く格好になっており、
しかも1枚目が観音開きになるという特殊ジャケット。

一方CD盤は、ケースの表面に溝が彫ってあり、
光の屈折を利用して、見る角度によって異なる絵が見えるというもの。
(上の写真は、同じCDを異なる角度から撮ったのを並べたもの)

オリジナル至上主義の僕ではあるが、
こうしたアイディアは楽しい。

まさにCDならではのデザインと言えるでしょう。


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『アモリカ』ザ・ブラック・クロウズ(1994) [CDジャケット]

Album art and art direction conceptualized by Chris Robinson and Janet Levinson
Design by Janet Levinson
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きわどい写真ですねえ。

・黒人女性の下腹部
・星条旗柄のビキニ
・はみ出したヘア−
・「amorica.」の文字

構成要素は至ってシンプルだが、
いろいろと想像をかきたてられます(変な意味じゃなくね!)。
力強さと、茶目っ気を感じるデザインだ。

女性と書いたが、この写真だけでは女性と断定できる保証はない。
というのも、女性特有の腰のラインが確認できないから。
ひょっとして男性?なんてことも想像できてしまうような、
そんな懐の深さを感じさせるデザインだ。

ヘアーだって、よく見ると何だかワザとらしくて、作り物っぽい。
セクシーではあるが、決してエロい感じがしないのは、
そうしたどことなく人工的な雰囲気や、
男女どちらともとれる中性性によるような気がします。

黒人、アメリカ、セクシャルなイメージというのは、
まさに彼らの音楽性を表現するものだ。
すなわち黒人音楽をルーツとするアメリカの音楽=ロックンロールである。
そもそも「ロックンロール」という言葉は
性的ニュアンスをもつ黒人のスラングから来ており、
ロックンロールには根源的にセクシャルなイメージがつきまとう。

星条旗は、アメリカのバンドというアイデンティティのほかに、
当時の所属レーベルであるAmerican Recordingsのシンボルでもあり、
またモラル、保守性の象徴でもあるだろう。

そこからはみ出したヘアーは、
つまりモラルへのアンチテーゼ、
保守化したロックへの、彼らの挑戦ととることができる。

実際、このアルバムのサウンドは、
どこを切り取っても、アメリカを感じさせるものでありながら、
同時に革新的なサウンドとなっている。
(このアルバムを彼らの最高傑作に挙げる人も多いくらいです)

最後に、タイトルの「amorica.」(ドットがおしゃれ)は
「america」の南部訛りであるという説が一般的なようですが、
「amore(アモーレ)」(愛)にひっかけた造語という解釈もなくはないのではないか、
という気がします。


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『対自核』ユーライア・ヒープ(1971) [CDジャケット]

Original Sleeve Design by Douglas Maxwell Ltd.

見て下さい。
なんと、まん中が鏡になってます!
手が映っているのがわかるでしょうか?

この鏡ジャケが欲しいがために、
1枚持っているのにまた買ってしまいました。

左が以前買った米盤ですが、あまりに違い過ぎるデザイン…

ただもっと酷いのはこのバージョン。

一見オリジナルに忠実なんですが、中央は鏡になってなくて
周りのグレーと同じ色で塗りつぶしてあるだけという…

「自分をみつめよ」というタイトルにちなんで鏡にしてあるのに、
これだとまったく意味がないばかりか、デザイン的にも最悪である。

鏡になっているのといないので、こうも違うものかという感じです。
このジャケは鏡になっていることで、初めて成立するデザインなんですね。
だからアーチストの意向を無視したようなこの塗りつぶし盤には、
どうも納得いきません。

そう考えると米盤は、鏡にはなっていないにしても、
鏡とはっきりわかるようなイラストになっているので、
まだ親切と言えるかもしれません。ただあまり品がよくないけど…

それにしても昔はこういう特殊ジャケが多くあったんですね。
最近の紙ジャケブームで、こういう昔の特殊ジャケが再現されてますが、
ずるいよ!また買っちゃうじゃん。この商売上手が!

この鏡に自分自身を映し出すというアイディア、
ユーライア・ヒープがオリジナルかどうか分かりませんが、
現在でも流用されているようです。

米タイム紙の2006年「今年の人」に選ばれたのは特定の人物ではなく
不特定多数の「あなた」で、その表紙は鏡仕立てになっているそうです。
つまり雑誌を手にとった人それぞれが、表紙を飾るというわけ。

このアイディア、ユーライア・ヒープを知らなければ、
もっと新鮮な感動があったのになぁ。


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『クリムゾン・キングの宮殿』キング・クリムゾン [CDジャケット]

Cover by Barry Godber

うーん、凄いジャケットである。
一度見たら忘れられないほど強烈なインパクトがある。
夢にまで出てきそうなイラストだ。

顔の中央部を大写しで映し出す。
目、鼻、口の穴はすべて大きく開かれ、歪み、
深いしわが寄った表情。赤い肌の色。
なんともグロテスクな形相だ。
しかしいくら見ていても飽きないどころか、
どんどん引き込まれていく不思議な魅力がある。

その表情は苦痛に歪んでいるようにも見えるし、
恐怖におののいているようにも見える。
あるいは何かを痛烈に訴えかけているようでもある。

いずれにせよ、極端に歪曲された外見は、
かえって何かリアルな内面を浮き彫りにしているようにも思える。

ご覧のように、アーチスト名、アルバム名のクレジットが無い。
同様のアルバムとしては、ツェッペリンの4作目が有名であるが、
既に成功を収めていた彼らでさえ、レコード会社からは
ジャケットにクレジットを入れないなんて自殺行為だと言われたのに、
クリムゾンはデビュー・アルバムで、しかもツェッペリンより先に、
クレジット無しジャケットに挑戦している。

結果はいうまでもなく大成功を収めたわけだが、
(ちなみにビートルズの「アビーロード」を蹴落として1位になっている)
音楽的に余程自身がないとできないことだ。

裏面を見ると、単なる顔でなかったことに驚く。
顔の途中から宇宙空間のようなものに繋がっている。
あるいは宇宙の一部と化している。
なんともシュールな絵だ。


さらに中を開くとこんなことに…
誰なんだ、お前は!
一体何を表しているのか、悩んでしまう。
何やらとても観念的で、哲学的、神秘的である。

だがキング・クリムゾンの音楽的世界を見事に表現していることは確かだ。
カオスとコスモ、攻撃性と叙情性、狂気と知性というような
彼らの音楽には欠かせないファクターをそこから感じ取ることができる。

そしてまた彼らの音楽がプログレッシヴ・ロック(進化したロック)と言われるように、
ロックミュージックがより奥深い精神世界を表現するようになった
ことを物語っているような秀逸なジャケットである。

余談ですが、この表紙のイラストの人物って
ジョン・ボイト(アンジェリーナ・ジョリーのお父さん)に似てませんか?
頬の盛り上がり具合とか。


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