「ビハインド・ザ・マスク」 オリジナルvsカバー10番勝負(2) [音楽の聴き方]
■ミッシング・リンク
「オリジナルvsカバー 10番勝負」2回目の今日はこの曲、
「ビハインド・ザ・マスク」をとりあげます。
オリジナルは、日本が世界に誇るYMO。
(『ソリッド・ステイト・サバイバー』(1979)に収録。
ちなみにこのアルバムにはビートルズ「デイ・トリッパー」の変則カバーも)
「Behind The Mask」YMO
そしてカバーしたのは、エリック・クラプトン(1986年『オーガスト』収録)。
ギターレスのユニットを、ギターの神様クラプトンがカバーする妙。
「Behind The Mask」Eric Clapton
これが意外といい。
クラプトンの熱烈なファンは、どう感じるのか知らないけど、
シンセ・サウンドとクラプトンの雄々しいボーカルが、不思議とマッチしてます。
この人のカバーはセンスがいいですね。
クリーム時代の「クロスロード」しかり、
デレク&ザ・ドミノス時代の「リトル・ウイング」しかり
ボブ・マーリーのカバー「アイ・ショット・ザ・シェリフ」なんてのも。
ブルース一本槍かと思いきや、このようにレゲエに手を出したり、
意外と浮気性なところもあって、そう考えるとこのカバーも納得?
ただ、テクノとブルースという繋がりには、どうしても飛躍を感じる。
実はYMOとクラプトンの間には、橋渡し的な存在があって、
その両者を埋めるミッシング・リンク(失われた環)的存在こそ、
マイケル・ジャクソンだ。
本来『スリラー』でマイケルが詞を補作し、この曲をカバーする予定だったが、
権利関係で折り合わず、幻に終わった。
しかし『スリラー』の制作に関わっていたグレッグ・フィリンゲンズが、
自身のアルバム『Pulse』でマイケル・バージョンをカバー。
その後『オーガスト』制作時、バックバンドのメンバーだったグレッグの進言で、
クラプトンがマイケル版をカバーした、ということらしい。
そのグレッグ・フィリンゲンズ版がこれ。
「Behind The Mask」Greg Philinganes
ソウル、ブラコン的なダンサブルなアレンジで、
マイケル版がどのようなものであったか、想像できるようなカバーだ。
YMO→マイケル・ジャクソン(グレッグ・フィリンゲン)→クラプトン
という流れを考えると、なんとなくスムーズにつながる。
それはテクノ→ソウル→ブルースという音楽進化の逆流ともいえないだろうか。
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