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「秋桜」オリジナルvsカバー10番勝負(10) [音楽の聴き方]

「秋桜」オリジナルvsカバー10番勝負(10)

■鮮やかなリハーモニゼーション

シリーズ「オリジナルvsカバー10番勝負」もいよいよラスト!
最後はちょっと季節外れになってしまいましたが、
山口百恵「秋桜」です。(予定では秋頃アップだったんだけどなぁ…)

「秋桜」山口百恵

山口百恵、綺麗ですね~

カバーするのは徳永英明

「秋桜」の作者、さだまさしはけっこう好きだったりするのだが、
この曲に関して言えば、そんなに好きなわけじゃなかった。
わりと王道なマイナーフォーク調のメロディのせいかも知れない。
僕がよく聴いた、さだのセルフカバー版では余計そう感じたものだ。

ところがこの徳永版は、坂本昌之によるアレンジが見事で、
フォーク調のあか抜けないイメージから、洗練されたポップスに生まれ変わっている。

とくに2コーラス目からが秀逸。
頭から大胆なリズムのシンコペーションで、ドラマチックに変化をつける。

そしてAメロの2回目。“しばらくは楽しげにいたけれど”から、
メロディは変わらないのに、コードが少しづつ変化していき、
“突然涙こぼし…”の部分では、
なんと本来のマイナーコード(Bm)が、メジャーコード(Gmaj7)に!

フォークではあまり使われない、ディミニッシュなどを使った、
鮮やかすぎる転換で、とってもオシャレ。

例えば同じメロディの
“いつの日も一人では なかったと 今更ながら…”

と聴き比べると、メロディの聴こえ方がまるで違うのがわかるだろう。

本来のコード感が頭に残っているだけに、
新たなハーモニーとの間で、メロディーの引っ張り合いが起こっていて、
ちょっとした混乱を生みだす。でもそれが快感。
この部分だけを何度聴き返したことか。

一旦明るいメジャーを挟んで、また寂しげなマイナーに戻ることで、
歌詞にあるような微妙な感情の変化(楽しげ→突然涙)をうまく伝えてもいる。

また全編に渡ってのギターのオブリガードもいい味を出している。
ジャジィな間奏でのギターソロは、音色・プレイともにため息級。
パワーバラード風アレンジの次曲「涙そうそう」への流れも含めて見事だ。

最後にこの曲を、きのう結婚式を挙げたK君に捧げます。

では2番に注意しながらどうぞ!

「秋桜」徳永英明


「秋桜」徳永英明
<収録アルバム>『Vocalist』(2005)
<オリジナル> 山口百恵(1977)
<作詞作曲> さだまさし

vocalist.jpg


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コメント 2

シュー

嫁さんが買ったVocalist、しょっちゅう家でかかっているのですが、その中で「秋桜」のアレンジがツボにハマりました。予想を裏切るコードの連続なのに、それがとても心地よいのです。「Vocalist 秋桜 アレンジ」でググったらこちらのページがヒットしました。同じように感じられている(それも音楽にとてもお詳しい)方がいらして嬉しいです。自分は音楽の知識はほとんどありませんが、ぜひ他のページも拝見させていただこうと思います。m(_ _)m
by シュー (2009-09-22 21:10) 

walrus

シューさん、初めまして。コメントありがとうございます。

> 予想を裏切るコードの連続なのに、それがとても心地よいのです。

まさに仰るとおりですよね!
僕も同じ考えの人がいて嬉しいです。

自分の場合、思い先行で書いてますので、
あまり細かいことを突っ込まれると弱いのですが…
今後ともよろしくお願いします。

by walrus (2009-09-26 23:33) 

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