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リマスター・ビートルズ 『ラバー・ソウル』〜『ホワイト・アルバム』 [音楽の聴き方]

今回は『ラバー・ソウル』から『ホワイト・アルバム』までを聴き比べてみた。

旧盤とリマスター盤(ステレオ)では、全体のおおまかな印象としては、
『ヘルプ!』で感じたのと同様、リマスター盤は音量もアップし、
クリアでリッチなサウンドになったと思う。

さらにリマスター盤は、低音が強調されヘヴィに。
ベース、バスドラはより太く重く、粘り気を持った感じだ。
ギターもエッジが立ち、ロック・バンドとしてのビートルズを再認識させられた。

例えば『ラバー・ソウル』の「Nowhere Man」など、
つい美しいコーラスに耳が奪われがちだが、こんなにヘヴィな曲だったのかと思う。

 

「Nowhere Man」The Beatles  

モノラルとステレオは当然のことながら別物であり、聴こえ方ももちろん違う。

ビートルズのアルバムは『サージェント・ペパーズ』あたりまで、
モノラル・ミックスに多くの時間と労力が割かれていたというから、
本来エンジニアが意図したミックスを堪能するには、モノラルがいいということになる。

たしかにビートルズのステレオ・ミックスには、
ヴォーカルや楽器の定位が片方のチャンネルに偏った、
アンバランスなものが見受けられる。

けれど僕のように『ヘルプ!』以降のアルバムを
ステレオで慣れ親しんだ人間にとって、
今さらモノと言われてもなあ…という気持ちもある。

やはり空間の広がりや、音質のクリアさではステレオ盤にはかなわない。
モノはどうしても音の濁りや輪郭のぼやけ、高音のジャリっとした感じが気になる。

ただモノのいいところは、一体感のあるサウンドだ。
とくにヴォーカル・ハーモニーが一塊になって飛び込んでくる感じは
モノならではという気がするし、
ビートルズの場合、迫力やライブ感を感じるのはステレオよりもモノが多い気がする。

『ラバー・ソウル』

『ラバー・ソウル』のモノ盤には、『ヘルプ!』同様、
1965年当時のステレオ・ミックス・ヴァージョンが入っていて、
これは定位がはっきり偏ったミックスだが、
旧盤では、ある程度自然に聴こえるようになっていたことから、
初CD化の際に、リミックスされていたのが分かる。
リマスター・ステレオ盤(新盤)は、もちろんこの旧盤をモデルにしている。

『リボルバー』

スタジオ作業に凝り出し、ライブ向きとは言えない曲が多くなってくる
このアルバムでは、むしろステレオの方が、
モノラル以上に迫力を持って迫ってくる曲が多いように感じた。

「Tomorrow Never Knows」などは、ヴォーカルの音量差が歴然で、
明らかにステレオの方が迫力がある。

ただし同じステレオでも「Taxman」「Eleanor Rigby」
「Got To Get You Into My Life」などは、定位の偏りや、音の分離が際立つため、
どうしても個々の音が浮いた感じがし、モノに比べて迫力に欠ける。

「Tomorrow Never Knows」The Beatles


■『マジカル・ミステリー・ツアー』

結局モノかステレオは好みの問題という気がするが、
僕は「Flying」「Blue Jay Way」はモノの方がいいと思った。
「Blue Jay Way」はステレオ盤でははっきり聴こえる、
逆回転風フレーズが聴こえないが、これは個人的にはなくてもいい気がする。
というか、こんな音入ってたっけ?これってミスじゃないの?と思ったくらいだ。
でも旧盤にもちゃんと入ってるし、
いかに「Blue Jay Way」をちゃんと聴いてなかったかってことですね…


「Blue Jay Way」
The Beatles

■『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

当時のエンジニアのジェフ・エメリックは『サージェント』はモノで聴けと言ってるが、
個人的にはステレオ盤に慣れてしまっているので、
モノ盤の方は、なるほどね〜という感じで聴いている。

ただし、
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
「Good Morning, Good Morning」
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)」
あたりは、 モノがいい。

「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のステレオは、
ヴォーカルの定位が片方によってしまっているのが何といっても残念だ。

■『ホワイト・アルバム』

『ホワイト・アルバム』に関しては、
ステレオでヴォーカルが片方に振られているといったような極端な定位もないし、
音の混ざり具合もだいぶ自然なので、
モノよりステレオのアドバンテージが圧倒的に高いだろう。

また「I Will」のモノでは、ステレオでは頭から入ってくるポールの口ベースが、
1コーラス目はまったく聴こえないというのも残念。

「I Will」The Beatles
 


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walrus

ぷーちゃんさん、うまNAVIさん、nice!ありがとうございます!
by walrus (2009-11-23 12:35) 

substitute

こんばんは。やってますね~。
iPod環境だと、'87の初期CDと同じMixなのですが、Rubber SoulとRevolverで、Stereo Mixの片寄せが妙に気になりました。
Sgt.以降は、Stereo、Monoとも甲乙つけ難いです。でも、最初にSgt.をMonoで聴いた時は、少しビックリしました。曲によってスピードが微妙に違ったりして。
by substitute (2009-11-23 20:11) 

walrus

substituteさん
基本的にモノでは、スピードが若干遅くなってる曲が
多いように感じました。
でもShe's Leaving Homeなんかは、ステレオの方が遅くて、
ピッチも変わってるみたいです。
なんでか分かりませんが…
by walrus (2009-11-25 02:34) 

DEBDYLAN

こういう聴き比べの話を読むと、
ステレオBOXも欲しくなってしまいます(苦笑)

感覚になっちゃうんですが、
『Sgt.』だったかなぁ。
monoの場合、
音が前後に広がってる(奥行きがある)ように聴こえました。
イヤホンで聴いてるから余計そう感じるのかもしれませんが。
今まであまり意識したコトなかったんで新鮮でした。

by DEBDYLAN (2009-11-29 08:47) 

walrus

DEBDYLANさん、

>『Sgt.』だったかなぁ。
> monoの場合、
> 音が前後に広がってる(奥行きがある)ように聴こえました。

分かるような気がします。
ヘッドフォンで聴くと、ステレオはいろんな方向から音が頭の中に
直接飛び込んでくる感じなのに対して、
モノはちゃんと目の前でバランスよく楽器が鳴っているような
感じというんでしょうか。

> ステレオBOXも欲しくなってしまいます(苦笑)

好き嫌いは別としても、
初期の4枚はステレオで聴くとまた新鮮ですよ〜。



by walrus (2009-11-29 19:27) 

c-yukky_z

こんにちは~♪
私がビートルズを聴き始めた時は、全てステレオ盤だった
ので、やはり『ステレオ盤』に愛着がありますね^^
それにチープな装置だと、MONOの「前後の塊」なんて、
到底キャッチ出来ないでしょ(^^;)?!

今度のリマスターで『Please Please Me』~『Help!』が、
ステレオで聴ける様になって、ホント嬉しいです!
今は「前後の奥行き」よりも「左右の広がり」の方に、
遥かに新鮮さを感じてしまいます^^
by c-yukky_z (2009-12-06 14:10) 

walrus

c-yukky_zさん、こんにちは。
初期作品のステレオ・バージョンは確かに新鮮でした。
今まで聴こえていなかった(埋もれていた)音が聴こえてきたりして。
一番びっくりしたのは「A Hard Day's Night」のイントロです。
by walrus (2009-12-08 05:41) 

yukky_z

あっ、すみません!訂正させてもらいます。
『PPM』~『For Sale』でしたね^^;
大変失礼しましたm(_)m
by yukky_z (2009-12-10 18:26) 

walrus

yukky_zさん
いえいえ、わざわざどうもありがとうございます!
by walrus (2009-12-11 02:54) 

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