リマスター・ビートルズ 『ラバー・ソウル』〜『ホワイト・アルバム』 [音楽の聴き方]
今回は『ラバー・ソウル』から『ホワイト・アルバム』までを聴き比べてみた。
旧盤とリマスター盤(ステレオ)では、全体のおおまかな印象としては、
『ヘルプ!』で感じたのと同様、リマスター盤は音量もアップし、
クリアでリッチなサウンドになったと思う。
さらにリマスター盤は、低音が強調されヘヴィに。
ベース、バスドラはより太く重く、粘り気を持った感じだ。
ギターもエッジが立ち、ロック・バンドとしてのビートルズを再認識させられた。
例えば『ラバー・ソウル』の「Nowhere Man」など、
つい美しいコーラスに耳が奪われがちだが、こんなにヘヴィな曲だったのかと思う。
「Nowhere Man」The Beatles
■
モノラルとステレオは当然のことながら別物であり、聴こえ方ももちろん違う。
ビートルズのアルバムは『サージェント・ペパーズ』あたりまで、
モノラル・ミックスに多くの時間と労力が割かれていたというから、
本来エンジニアが意図したミックスを堪能するには、モノラルがいいということになる。
たしかにビートルズのステレオ・ミックスには、
ヴォーカルや楽器の定位が片方のチャンネルに偏った、
アンバランスなものが見受けられる。
けれど僕のように『ヘルプ!』以降のアルバムを
ステレオで慣れ親しんだ人間にとって、
今さらモノと言われてもなあ…という気持ちもある。
やはり空間の広がりや、音質のクリアさではステレオ盤にはかなわない。
モノはどうしても音の濁りや輪郭のぼやけ、高音のジャリっとした感じが気になる。
ただモノのいいところは、一体感のあるサウンドだ。
とくにヴォーカル・ハーモニーが一塊になって飛び込んでくる感じは
モノならではという気がするし、
ビートルズの場合、迫力やライブ感を感じるのはステレオよりもモノが多い気がする。
■『ラバー・ソウル』
『ラバー・ソウル』のモノ盤には、『ヘルプ!』同様、
1965年当時のステレオ・ミックス・ヴァージョンが入っていて、
これは定位がはっきり偏ったミックスだが、
旧盤では、ある程度自然に聴こえるようになっていたことから、
初CD化の際に、リミックスされていたのが分かる。
リマスター・ステレオ盤(新盤)は、もちろんこの旧盤をモデルにしている。
■『リボルバー』
スタジオ作業に凝り出し、ライブ向きとは言えない曲が多くなってくる
このアルバムでは、むしろステレオの方が、
モノラル以上に迫力を持って迫ってくる曲が多いように感じた。
「Tomorrow Never Knows」などは、ヴォーカルの音量差が歴然で、
明らかにステレオの方が迫力がある。
ただし同じステレオでも「Taxman」や「Eleanor Rigby」、
「Got To Get You Into My Life」などは、定位の偏りや、音の分離が際立つため、
どうしても個々の音が浮いた感じがし、モノに比べて迫力に欠ける。
「Tomorrow Never Knows」The Beatles
■『マジカル・ミステリー・ツアー』
結局モノかステレオは好みの問題という気がするが、
僕は「Flying」「Blue Jay Way」はモノの方がいいと思った。
「Blue Jay Way」はステレオ盤でははっきり聴こえる、
逆回転風フレーズが聴こえないが、これは個人的にはなくてもいい気がする。
というか、こんな音入ってたっけ?これってミスじゃないの?と思ったくらいだ。
でも旧盤にもちゃんと入ってるし、
いかに「Blue Jay Way」をちゃんと聴いてなかったかってことですね…
「Blue Jay Way」The Beatles
■『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
当時のエンジニアのジェフ・エメリックは『サージェント』はモノで聴けと言ってるが、
個人的にはステレオ盤に慣れてしまっているので、
モノ盤の方は、なるほどね〜という感じで聴いている。
ただし、
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
「Good Morning, Good Morning」
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)」あたりは、
モノがいい。
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のステレオは、
ヴォーカルの定位が片方によってしまっているのが何といっても残念だ。
■『ホワイト・アルバム』
『ホワイト・アルバム』に関しては、
ステレオでヴォーカルが片方に振られているといったような極端な定位もないし、
音の混ざり具合もだいぶ自然なので、
モノよりステレオのアドバンテージが圧倒的に高いだろう。
また「I Will」のモノでは、ステレオでは頭から入ってくるポールの口ベースが、
1コーラス目はまったく聴こえないというのも残念。
「I Will」The Beatles
ぷーちゃんさん、うまNAVIさん、nice!ありがとうございます!
by walrus (2009-11-23 12:35)
こんばんは。やってますね~。
iPod環境だと、'87の初期CDと同じMixなのですが、Rubber SoulとRevolverで、Stereo Mixの片寄せが妙に気になりました。
Sgt.以降は、Stereo、Monoとも甲乙つけ難いです。でも、最初にSgt.をMonoで聴いた時は、少しビックリしました。曲によってスピードが微妙に違ったりして。
by substitute (2009-11-23 20:11)
substituteさん
基本的にモノでは、スピードが若干遅くなってる曲が
多いように感じました。
でもShe's Leaving Homeなんかは、ステレオの方が遅くて、
ピッチも変わってるみたいです。
なんでか分かりませんが…
by walrus (2009-11-25 02:34)
こういう聴き比べの話を読むと、
ステレオBOXも欲しくなってしまいます(苦笑)
感覚になっちゃうんですが、
『Sgt.』だったかなぁ。
monoの場合、
音が前後に広がってる(奥行きがある)ように聴こえました。
イヤホンで聴いてるから余計そう感じるのかもしれませんが。
今まであまり意識したコトなかったんで新鮮でした。
by DEBDYLAN (2009-11-29 08:47)
DEBDYLANさん、
>『Sgt.』だったかなぁ。
> monoの場合、
> 音が前後に広がってる(奥行きがある)ように聴こえました。
分かるような気がします。
ヘッドフォンで聴くと、ステレオはいろんな方向から音が頭の中に
直接飛び込んでくる感じなのに対して、
モノはちゃんと目の前でバランスよく楽器が鳴っているような
感じというんでしょうか。
> ステレオBOXも欲しくなってしまいます(苦笑)
好き嫌いは別としても、
初期の4枚はステレオで聴くとまた新鮮ですよ〜。
by walrus (2009-11-29 19:27)
こんにちは~♪
私がビートルズを聴き始めた時は、全てステレオ盤だった
ので、やはり『ステレオ盤』に愛着がありますね^^
それにチープな装置だと、MONOの「前後の塊」なんて、
到底キャッチ出来ないでしょ(^^;)?!
今度のリマスターで『Please Please Me』~『Help!』が、
ステレオで聴ける様になって、ホント嬉しいです!
今は「前後の奥行き」よりも「左右の広がり」の方に、
遥かに新鮮さを感じてしまいます^^
by c-yukky_z (2009-12-06 14:10)
c-yukky_zさん、こんにちは。
初期作品のステレオ・バージョンは確かに新鮮でした。
今まで聴こえていなかった(埋もれていた)音が聴こえてきたりして。
一番びっくりしたのは「A Hard Day's Night」のイントロです。
by walrus (2009-12-08 05:41)
あっ、すみません!訂正させてもらいます。
『PPM』~『For Sale』でしたね^^;
大変失礼しましたm(_)m
by yukky_z (2009-12-10 18:26)
yukky_zさん
いえいえ、わざわざどうもありがとうございます!
by walrus (2009-12-11 02:54)