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きっと徹子が好きになる ~「ザ・ベストテン」山田修爾 [本の読み方]

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「ザ・ベストテン」山田修爾 著(ソニー・マガジンズ)

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いきなりクイズです。

最高視聴率41.9%を叩き出した、TBSの伝説的音楽番組といえば…
「ザ・ベストテン」ですが、
その第1回の1位となった曲は何だったでしょうか?

ヒント、放送日は1978年1月19日。有名な曲です。

さて、答えは最後に取っておくとして、この本です。
その名もずばり「ザ・ベストテン」。
番組のディレクター~プロデューサーだった著者による、番組裏話を綴ったもので、
本屋で目にして、速攻で買ってしまった。

まさに「ベストテン世代」とも言える僕にとっては、
とても興味深く、また当時を思い出しながら懐かしく読めた。

番組1回目に、ランキングしていない山口百恵を、
「他の歌手と入れ替えてもいいから出せ」と、上から言われた話とか、
松山千春のトークが長引いて、1位の山口百恵が歌えなかった話とか、
追っかけから逃げるために、松坂慶子と押し入れに隠れた話とか、
とにかく興味深い話が満載なのだが、

この本を読んで、個人的に感銘を受けたのが、黒柳徹子の人柄に関するエピソード。

たとえば、彼女が司会を引き受けるにあたって出した条件のひとつが、
「ランキングに嘘がないこと」だったり、
どんな若い歌手に対しても、プロとして相手を尊重したいと“さん”付けしたり、

あるときには、ファンのなにげなく発した差別的な発言に、
番組の進行を止めてでも、視聴者に「そういうことは言わないで」と訴えたり。

当時は、タマネギ頭の面白いおばちゃんぐらいにしか思ってなかったのだが、
こうした誠実な人間性を表すエピソードに、思わずファンになってしまった。

巻末には、そんな黒柳との対談もあったり
(出来れば久米宏とも対談して欲しかった…)、
また、全放送回のランキングも載っていて、資料的な価値も。

当時を知る人はもちろん、知らない人も楽しめるんじゃないでしょうか。

さて、冒頭のクイズですが…答えはこの曲でした。

「UFO」ピンク・レディー


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レココレ ビートルズ「青の時代」ベスト50 [本の読み方]

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レコード・コレクターズ今月号の特集は、前号からの連続企画第2弾、
ビートルズ「青の時代」(『サージェントペパーズ』以降)ベスト50です。
「赤の時代」ベストについて書いた記事で、今回の予想をしたんですが、
果たして当たってるんでしょうか?
さっそく、気になる結果を見てみましょう(20位まで)。

1. Strawberry Fields Forever
2. A Day In The Life
3. I Am The Walrus
4. Something
5. Happiness Is A Warm Gun
6. Don't Let Me Down
7. Across The Universe
8. While My Guitar Gently Weeps
9. Let It Be
10. Penny Lane
11. All You Need Is Love
12. Revolution
13. Your Mother Should Know
14. Hey Jude
15. Come Together
16. Yer Blues
17. I Will
18. Here Comes The Sun
19. Get Back
20. You Never Give Me Your Money

お、1、2位は当たってました。まあ、順当と言えば順当ですけど。
「Something」やっぱり来ましたね。僕は3位に予想してました。
大体選んだのは上位に来てますが(「Lucy In The Sky With Diamonds」は21位)、
あれ??「Magical Mystery Tour」は50位以内に入ってないじゃん!
これは意外というか、僕の見る目がなかったということでしょうか…

さて全体を眺めると、思ったよりポールが劣勢だったかなと。
ポールの最高位は「Let It Be」の9位で、ジョージの2曲よりも下。

ただジョージの健闘は、なんとなく予感がありました。
たとえば、偉大な人が亡くなると追悼番組をやったりして、
その人の業績を振り返ったりしますが、
ジョージも帰らぬ人となったあと、彼の業績を総括し、
再評価する気運が、あちこちで高まったのは事実でしょう。

そういう意味では、いまだに現役のポールにとっては、
初めからハンデを負ったようなものかも知れないですね。

あと意外なところでは…
「Your Mother Should Know」の13位(「Hey Jude」より上)、
「You Know My Name(Look Up The Number)」の29位。

僕の1番好きな「Sexy Sadie」を1位に挙げる人は、まずいないだろうと思っていたら、
選定員ではないけれど、ミュージシャンの杉真理氏が1位にしてました。

来月はソロですか。
予想はしませんが、個人的にベストを挙げるとすれば、
ジョン「#9 Dream」(好きな曲多くて悩むが…)
ポール「Back Seat Of My Car」(ポールはビートルズ時代が最高、だと思う)
ジョージ「This Is Love」(このアルバムが好き)
リンゴ「You're Sixteen(You're Beautiful Your Mine)」(他あまり知りません…)
といったところでしょうか。


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レココレ ビートルズ「赤の時代」ベスト50 [本の読み方]

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レコード・コレクターズ7月号で、ビートルズ「赤の時代」
(デビューから『リボルバー』までの前期)のベスト50曲を選んでます。
なんかシャクだけど、買ってしまいました。

音楽評論家が、2008年という現在、もっとも評価するビートルズの曲は何か!?
これはとても興味深いです。

あくまで専門家のチョイスだから、
当然一般の音楽ファンが選んだ場合とは違ってくるだろうし、
コアなビートルズファンの結果とも違うだろう。
もちろん僕のランキングとも全然違います。
また、雑誌の傾向や,選者の年齢によっても違ってくるかも知れない。

何はともあれ、20位までは以下の通りでした。

1. She Loves You
2. Help!
3. Tomorrow Never Knows
4. Drive My Car
5. A Hard Day's Night
6. In My Life
7. I Want To Hold Your Hand
8. Nowhere Man
9. Rain
10. I Saw Her Standing There
11. I Should Have Known Better
12. If I Fell
13. Day Tripper
14. And Your Bird Can Sing
15. Norwedgian Wood (The Bird Has Flown)
16. Please Please Me
17. Twist And Shout
18. Eleanor Rigby
19. We Can Work It Out
20. Here, There And Everywhere

1位が「She Loves You」というのは、ちょっと意外でした。
3位に「Tomorrow Never Knows」が入ってますが、
『リボルバー』はサウンド的には後期だから、このアルバムの曲が1位に来ると、
それはそれでどうかという思惑があったかどうかはさておき…

2008年という今だからこそ、っていうのもあるんでしょう。
こういうランキングは、その時代の流行の音とも密接な関係があると思うから。
例えばグランジが全盛だった15年ぐらい前だったら、
1位には来なかったんじゃないだろうか。分からないけど…

僕自身「She Loves You」に関しては、
初めはキャッチーなメロディが好きだったんだけど、
そのうち、ジョンが若気の至りみたいに、この曲のことを貶してるのを
どこかで読んだりして、それに影響されてか、
確かにアイドルっぽい曲だ、なんて思っていたこともありました。
でも最近では、なるほどよく出来たミラクルな曲だという評価に変わってきました。
かといって1位には絶対選ばないだろうなぁ…

でも前期ビートルズを象徴する曲ってことで考えると、
これや「A Hard Day's Night」「I Want To Hold Your Hand」
上位に来るのもうなずけます。

評論家っていうのは、感覚的な好き嫌いというよりは、
音楽の構造上の創意工夫であるとか、音楽史におけるその曲の意義だとか、
学術的な観点で曲を捉える傾向がある(というかそれが彼らの仕事だが)と思うので、
そういう意味では納得な選曲だと思う。

やはりというか、全体にジョンの曲が多いですね。
でも時代が変われば、「Yesterday」が1位に来てもおかしくはないし、
そういう「格」を持った曲ではあると思う。

■「青の時代」ベストを予想

次号は「青の時代」、その次がソロ時代のベストらしいですが(商売上手!)、
果たして「青の時代」のベストには何が入るんでしょうか?
ランキングを予想するのも楽しいですよね。
というわけで勝手に予想してみました。

「赤の時代」のランキングから傾向を読み取ると、
1位は、後期ビートルズを象徴するような代表曲、
おそらくシングル化もされるようなポピュラリティを持った曲で
なおかつ技巧を凝らした画期的な曲、ということになるんじゃないでしょうか。
間違っても「Sexy Sadie」ではないでしょうね…

前期はジョン有利でしたが、後期はポールの傑作も多いし、
ジョージも力をつけてきているので分かりません。
ただジョージの曲がジョンやポールの曲をおしのけて、1位に来るというのは
さすがにちょっと考えられない。2位はあるかも知れませんが。

前期では「Here, There And Everywhere」(20位)、「Yesterday」(32位)、
「And I Love Her」(33位)、「Michelle」「For No One」(選外!)というように、
ポールのバラードは苦戦を強いられましたが、
前期のサウンドの象徴が、弾けるようなライブサウンドだとするなら、
後期は逆にバラード系が上位にくる可能性もありでしょう。

でもそれよりは、後期はスタジオワークを駆使した実験色の強いサウンド、
ということになるんじゃないでしょうか。
あとは歌詞も重視されるだろうから、そうなると1位になりそうな曲というのは
限られてきますね。

これらに当てはまるもの、そして1位にふさわしい格を持っている曲といえば、
まあ、定番かも知れませんが、

「Strawberry Fields Forever」「Hey Jude」「Let It Be」
それにシングルではないけど、「A Day In The Life」でしょうか。
…う~ん、意外性がないな。
いや意外性はいらないんだけど、でもやっぱり評論家ならではのチョイスというか、
ヒネリは入ってきそうな気がするんですよね。

それ以外で納得できそうなのは「All You Need Is Love」ぐらいか。
ジョージでは「Something」が、かなり検討しそうな予感がします。

というわけで、ずばり、ベスト10までですが。

1. Strawberry Fields Forever
2. A Day In The Life
3. Something
4. Hey Jude
5. All You Need Is Love
6. Let It Be
7. Lucy In The Sky WIth Diamonds
8. Penny Lane
9. Magical Mystery Tour
10. I Am The Walrus

こんな感じにしてみました。さてどうなるでしょう。
まったく違ってたりして…


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「エリック・クラプトン自伝」エリック・クラプトン [本の読み方]

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「エリック・クラプトン自伝」エリック・クラプトン著、中江昌彦訳
(イースト・プレス)

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祖父母を実の父母だと教えられ育った複雑な生い立ちから、
理想を追い求めるあまり、長続きしないバンドのこと。
親友ジョージ・ハリスンの妻、パティとの不倫。
ドラッグ依存症とアルコール依存症との壮絶な闘い。
息子を事故で亡くしたこと…

その凄絶な半生を、音楽への深い愛とともに自身の言葉で綴った
「エリック・クラプトン自伝」。コレはお薦めです!!

これを読めば、ギターを持てば神と言われた男も、
弱さを持ったひとりの人間だということがよく分かる。

ー私は彼女(パティ)に、ジョージを捨てなければ、ヘロインを常用するといった。ー

ーまもなく毎日、大量のヘロインを使い出したー

ー1日中自殺のことばかり考えていた。ー

…などなど、ショッキングな告白が次々飛び出す。
そこからは何とも罪深く、ダメダメな男の姿が浮かび上がるが、でもなぜか憎めない。
辛い出来事や、自らの恥をさらすような、語りづらいことも、
すべて真っ向から受け止め、真摯に語られるその語り口には、むしろ好感が持てる。
息子の死をきっかけに、本気でアルコールを断つ決意をするくだりなどは、
涙なくしては読めない。

こうしてすべてを語れるのも、
ここ10年が人生の中でもっとも素晴らしかった、というように、
54才にして今の奥さんと結婚し、ようやく心の平安を得ることができた
というのが大きいのだろう。

ドラッグやアルコールに溺れていた時期を思えば、
今もこうして彼が生きているのは、幸運だとも言える。
もしかしたら、ジミ・ヘンドリックスの代わりに天国に行っていたのは
彼だったかも知れないのだ。
でも、とにかく彼は生き延びた。
それは本人も認めるように、音楽の存在があったからというのが大きい。

音楽に肌の色は関係ないという彼の考えには、素直に共感できるし、
宗教にこだわりはないが、音楽や芸術の世界に神を見つけた、という記述からは、
救いとしての音楽の力を信じさせてもくれる。

この本はそうした音楽の素晴らしさを改めて教えてくれる。
音楽を愛するすべての人に!

★Today's Set
1. Bell Bottom Blues(Derek & The Dominos)
2. Nobody Knows You When You're Down And Out(〃)
3. I Am Yours(〃)
4. Presence Of The Lord(Blind Faith)
5. Lonely Stranger(Eric Clapton)


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「日本人のためのイスラム原論」小室直樹 [本の読み方]


日本人のためのイスラム原論









これは読みやすい!
日本人にとって馴染みの薄いイスラム教を、
他の宗教と比較しながら分かりやすく解説している。

いまだに十字軍を引きずっている訳や、なぜ日本で広まらないのか、
なぜテロリストが生まれるのか、といった疑問に対しても、
まるでミステリーの謎解きをするように、明快な論理で説明されるので、
興味深く一気に読めてしまった。

イスラムだけでなく、他の宗教の理解にも役立つし、
宗教とは何かということを考えさせられる。

幾分極端に感じられるところもあったり、
もちろんこれですべて理解できるとは思わないが、
それぞれの宗教の違い、その歴史的背景や、それぞれの理屈に対する
基本的な理解には十分役に立つだろう。

ただ理屈は分かったところで、
「でもなんで?」という部分は以前残る。
というより、いっそう強く感じてしまった。
その辺がある意味、宗教の限界なのかも知れないなと思ったりする。
タグ:宗教
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「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹 [本の読み方]

>> "世界とは凝縮された可能性で作り上げられたコーヒー・テーブルなのだ。"

予定調和な結末の物語よりは、
不条理な結末の物語に惹かれることの方が多い。

「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」もその一つ。
切ないラストは、読むたびに言いようのない哀しさが溢れてくる。

人間の行動は、ときとして理解を超えることがある。
他人から見れば、一見なんの利益にもならないようなことを平気で行ったり。
でもそれが人間というものだ。

そしてまた世の中というのは思い通りにいかないものである。
そんなことを教えてくれる小説だ。

>> "ジム・モリソンが死んで十年以上になるが、ドアーズの音楽を流しながら走っているタクシーにめぐりあったことは一度もない。"

二つのテイストの違う物語が交互に語られるのだが、
物語が進むにつれ、二つの世界はシンクロし始め、
やがてエンディングへ向けて感動的な収束を見せる。

とは言っても、二つの物語はそれぞれ独立していて、
最後まで、直接交わることはない。
しかし両者はまるで表と裏のような関係にあり、
裏があることで、表の部分がより深みを増すという構図。
逆もまたしかり。

物語もさることながら、こうした文学的構成の見事さに
感嘆せずにはいられない。

>> "気の利いた女の子というのは三百種類くらいの返事の仕方を知っているのだ。"

大学生のときに初めて読んだ村上作品が、
この「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」で、
そんなに本を読む方ではない(おそらく平均的な部類だと思う)が、
それまで読んだどの小説とも違い、味わったことのない読後感を味わった。
その独特な文体と世界観は衝撃的で、
以後、僕の精神構造にかなり影響を与えたといっていい。

ポップで読みやすく、爽やかでありながら、
それでいてシュールなカフカ的世界観も併せ持つ。

また、偏執狂のように次々と繰り出される斬新な比喩表現。
それらを間引くと、きっと半分の量に収まってしまうんじゃないかと
思うほどだ。

他にも随所に実験的な表現がちりばめられていて、
この小説を多層的なものにしている。

>> "死とはシェーヴィング・クリームの缶を半分残していくことなのだ。"

腹が空いたら食事をするように、一定の時間が経つと脳が渇望する。
僕にとってそんな小説だ。


★Today's Set

1. A Hard Rain's A Gonna-Fall(Bob Dylan)
2. When The Music Is Over(The Doors)
3. The End(〃)


タグ:村上春樹
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